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AIツール「ShortStop」で解明される人間ゲノムの「暗黒部」——肺がん関連微小蛋白質を発見

7日前

スールク研究所の科学者たちが、人間ゲノムの「暗黒部」に隠れる微小タンパク質(マイクロプロテイン)の発見を加速する新しいAIツール「ShortStop」を開発した。マイクロプロテインは通常のタンパク質と比べて150アミノ酸以下と非常に小さく、従来の手法では検出が難しく、ゲノムの約99%とされる「非コード領域」に隠れていた。しかし、近年の研究でこれらの微小タンパク質が健康や疾患の調節に重要な役割を果たす可能性が示唆されている。 ShortStopは機械学習を活用し、既存のRNA配列データからマイクロプロテインの生成候補となる「小さな開放読解フレーム(smORF)」を迅速に特定する。特に、ランダムに生成された偽のsmORFデータを用いて訓練することで、機能的なマイクロプロテインと機能しないものとを分類。これにより、実験で無駄に試す必要のある候補を大幅に絞り込むことが可能になった。 研究チームはShortStopを肺がんの遺伝子データに適用し、210の新たなマイクロプロテイン候補を発見。そのうちの1つは腫瘍組織で発現が上昇しており、がんのバイオマーカーや治療標的としての可能性を示した。この成果は、アルツハイマー病や肥満など、さまざまな疾患との関連探索にも応用できる。 開発を主導したアラン・サガタニアン教授は、「これまで無視されてきた領域に、重要な生命活動に関わるタンパク質が隠れている可能性がある」と強調。ShortStopは既存のRNAシーケンシングデータと互換性があり、多くの研究室が簡単に導入できる点が大きな利点だという。 このツールの登場により、従来は手間とコストがかかりすぎたマイクロプロテインの探索が、効率的かつスケーラブルに進む。今後、新たな病態解明や治療法開発への道が開かれると期待されている。

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