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CTスキャンに隠された心臓のリスク、AIが見つけ出す新技術

2日前

CTスキャナー内に隠された心臓疾患リスクを見つける新AIツール開発 米国のマサチューセッツ・ジェネラル・ブリガム研究所と退役軍人省(VA)との共同研究チームは、新たにAI-CACと名付けられたAIツールを開発しました。このツールは、通常の胸部CTスキャンから冠動脈石灰化(CAC)を検出し、心血管疾患のリスクを評価します。通常、CACを評価するためには「ゲート付き」CTスキャンが必要ですが、これは心拍に同期させる特殊な技術を用いています。一方、日常的に使用されるCTスキャンのほとんどは「ノングレート」タイプで、心拍の動きを完全に制御できません。しかし、研究チームはこれらノングレートCTスキャンでもCACを検出可能であることに注目し、AI-CACの開発に成功しました。 研究では、VAが98の医療センターで通常の診療時に収集した胸部CTスキャンデータを用いてモデルを訓練しました。その後、8,052件のCTスキャンデータで性能試験を行い、AI-CACが89.4%の精度でCACの有無を判定できること、またCACのスコアが100以上の患者を87.3%の精度で判別できることを確認しました。CACスコアが400以上ある患者は、スコアがゼロの患者に比べて10年以内に死亡するリスクが3.49倍高いことが示されました。AI-CACが「非常に高CACスコア」と識別した患者のうち、カーディオロジスト4人が検証した結果、その99.2%が脂質低下療法の対象となることが分かっています。 研究の筆頭著者である Rafi Hagopian 医師(VA ロングビーチヘルスケアシステムの応用革新・医療情報グループ所属)は、「VAの画像診断システムには、他の目的のために取得された数百万のノングレート胸部CTスキャンが存在します。これを利用することで、心血管リスクの評価を大幅に強化し、医療の質を向上させることができます」と述べています。「AI-CACのようなツールを使用することで、医療は病気に対する反応的な取り組みから予防的な対策へとシフトし、長期的な病態とコストを抑制することにつながります」と補足しています。 研究の主著者であるHugo Aerts 博士(マサチューセッツ・ジェネラル・ブリガム研究所の医療における人工知能プログラムのディレクター)は、「毎年、何百万人もの健康な人々が肺がんスクリーニングなどで胸部CT撮影を受けますが、その際に得られる心血管リスクに関連する重要な情報が見逃されがちです。AI-CACは、その情報を利用する可能性を示しています」と述べています。 この研究の資金源となる退役軍人省医療システムは、将来的に一般 population 向けにさらに研究を進めていく予定としています。特に、脂質低下薬の影響を評価することも視野に入れています。研究チームの目的は、AI-CACをより広範囲に普及させることで、心血管疾患の早期診断と予防に貢献することです。 研究チームメンバーは Mass General BrighamのSimon Bernatz, Leonard Nürnbergと、Raffi Hagopian, Timothy Strebel, Gregory A. Myers, Erik Offerman, Eric Zuniga, Cy Y. Kim, Angie T. Ng, James A. Iwaz, Sunny P. Singh, Evan P. Carey, Michael J. Kim, R. Spencer Schaefer, Jeannie Yu, Amilcare Gentiliらです。 退役軍人省医療システムの研究開発基金によって本研究は支援されています。

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