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AIが融合データで膝関節変形性関節症の悪化を高精度予測へ

3日前

中国・重慶医科大学の王婷(Ting Wang)氏らの研究チームが、人工知能(AI)を活用した新たなモデル「Load-Bearing Tissue Radiomic plus Biochemical biomarker and Clinical variable Model(LBTRBC-M)」を開発し、膝関節変形性関節症(OA)の進行をより正確に予測できる可能性を示した。このモデルは、患者のMRI画像データ、血液・尿の生化学的指標、そして臨床情報の3種類のデータを統合して、2年以内に痛みの悪化や関節の構造的変化が起こるかどうかを予測するものだ。研究は、米国国立衛生研究所(NIH)の関節症バイオマーカー共同研究コンソーシアムのデータを基に、594人の患者から得られた1,753枚の膝関節MRIと、2年間の追跡データを用いて行われた。 AI技術を活用し、半数のデータでモデル構築、残りの半数で検証を実施。その結果、LBTRBC-Mは、痛みの悪化のみ、構造的変化(関節間隙狭窄)の進行、または両方の進行、または進行なしのいずれかを、高い精度で予測できた。さらに、7名の医師がこのモデルを活用して予測を行ったところ、正確率が46.9%から65.4%まで向上した。これは、AIが臨床医の判断を補強する有効なツールとなり得ることを示している。 研究チームは、「深層学習と縦断的MRI画像解析、生化学的バイオマーカーを組み合わせることで、膝OAの進行予測が大きく改善され、早期かつ個別化された治療介入が可能になる」と述べている。共著者の丁昌海教授も、「この研究は、筋骨格系疾患の複雑なデータから臨床的に意味のある情報を抽出するAIの可能性を示す重要な一歩」と評価している。 今後は、さらに多くの患者集団での検証とモデルの改良が必要とされるが、この成果は、非侵襲的な画像解析とバイオマーカーを活用した、次世代の個別化医療の道筋を示している。

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