AIが論文を書く時代へ——世界初のAI共同レビュー付き予印本プラットフォーム「aiXiv」が登場
カナダ・トロント大学の博士課程学生である張鹏松(ちょう ほうしょう)らの研究チームが、AIが生成する科学的研究成果を対象にした、AIによる同行評価を備えたオープンアクセスのプレプリントプラットフォーム「aiXiv」を構築した。これは、AI科学者やロボット科学者の活動を支えるための世界初の統合的科研環境であり、従来の学術出版システムの限界を打破する可能性を秘めている。 従来の学術出版は「人間による研究+人間による審査」の枠組みに依存しており、AIが自動で研究計画を立案し、実験を実施、論文を執筆する時代には不適切な構造となっている。特に、AIによる研究生成の規模が拡大する中で、審査の遅延、品質管理の不足、署名の不透明性、提案段階の支援欠如、さらには提示語注入攻撃などのセキュリティリスクが顕在化している。 aiXivは、これらの課題を解決するために、以下の仕組みを採用している。まず、構造化された研究計画(Research Proposal)と論文の提出・レビュー・返修・公開を一貫してサポート。次に、AIレビュアーと人間レビュアーが共に参加する多層的評価体制を導入し、大規模モデルの投票による偏り回避と、検索増強生成(RAG)を活用した文献対齊による信頼性向上を実現。さらに、提示語注入攻撃を検出・防御するセキュリティ機構を統合。実験では、大規模モデルによる論文ペアワイズ審査の正確率が81%に達し、AIが本質的な学術判断を実行できる可能性を裏付けた。 評価プロセスの改善により、論文の受容率は10%から70%へ、研究計画の受容率は0%から45.2%へと大幅に向上。すべての論文と80%の提案が返修後に品質向上を確認された。このように、aiXivはAI生成研究の信頼性と質の向上を実現している。 研究チームは、今後、強化学習を組み合わせた「科研AIエージェント環境」の構築を計画。AI科学者が反復的な学習と意思決定を進めるためのデータ基盤を構築し、特に生物学・化学・材料科学などの実験領域での物理的実行と結合を進め、AIとロボットが「手と頭」を一体化した「ロボット科学者」の実現を目指す。また、商科研究への応用や、文献の効果的活用能力の強化も課題として挙げている。 さらに、非営利組織「aiXiv Organization」の設立を検討しており、世界中の研究者・機関・企業・財団と協力し、持続可能な科学共創のインフラを構築する。研究チームは、AIが科学の進展を加速する一方で、人類の創造性と知的挑戦の場をより高めるべきだと強調。AIが「小手先の改善」を担うことで、人間はより根本的かつ革新的な課題に集中できる――これがaiXivの最終的なビジョンである。
