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スマホ1枚で作物の渇水ストレスを早期検出 AIが植物の「声」を読み解く新システムIDSDSが登場

植物の画像から早期の乾燥ストレスを検出するAIシステム「IDSDS」が開発された。インドのICAR、ラマクリシュナ・ミッション・ヴィヴェカナンダ教育研究 institute(RKMVERI)、オーストラリアのクイーンズランド大学の共同研究チームが、RGBカメラで撮影した普通の植物画像をもとに、乾燥ストレスの早期兆候をAIで読み取る仕組みを構築した。このシステムは、農業における気候変動への対応を強化する画期的なツールとして注目されている。 乾燥は農業にとって最も深刻な脅威の一つで、インドでは約42%の耕作地が乾燥状態にある。従来の検出法は、葉の黄ばみや土壌サンプリング、高価な分光計測器を用いるものが多く、コストやスケーラビリティに課題があった。一方、スマートフォンで撮影できるRGB画像は安価で広く利用可能だが、情報量が限られ、ストレスの早期兆候を捉えにくいという問題があった。 研究チームは、深層学習モデルを用いてRGB画像から高精度なハイパースペクトルデータ(数百の波長帯を測定する情報)を再構成する技術を開発。4,800枚のRGB画像と400組のハイパースペクトルデータを用いて学習させ、再構成精度はスペクトル角度マッパー(SAM)で0.12という非常に高い水準に達した。これにより、従来は専門機器が必要だった生理的指標を、普通の写真から推定可能になった。 さらに、視覚的に理解しやすい「グリーンネス係数(GC)」という新指標を導入。HSV色空間から抽出した緑色の変化を0~500のスケールで表現し、人間の目では気づけない微細なストレス変化を可視化。また、NDVIやPSRIなど複数のスペクトル指数を統合して、ストレスの段階を多角的に評価する。分類エンジンではランダムフォレストが99%の精度で7段階のストレス状態を識別し、Digital Stress Chart(DSC)として空間分布を可視化。農家が「どの部位がストレスを受けているか」を明確に把握できる。 このシステムの意義は、農家がスマートフォンで撮影した画像をアップロードするだけで、科学的根拠に基づいた判断が可能になる点にある。研究を主導したRKMVERIのダス博士は「すべてのカメラを科学ツールに、すべての農家をデータドリブンな意思決定者に」と語り、AIが植物の「声」を代弁する一歩を示した。

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