マイクロソフト、データセンター電力コストを全額負担へ AIブームで電力料金問題が政治的焦点に
マイクロソフトが、米国各地の郊外・地方の電力需要を支えるため、データセンターの電力コストを自ら負担すると発表した。同社のブレッド・スミス社長は10月22日、電力会社の料金が「データセンターのコストを十分にカバーする水準」になるよう、自らの電力費用を負担すると明言。AIの急拡大に伴う電力需要の歴史的増加を背景に、一般家庭の電気代が上昇する中での決断である。 この発表は、電力会社、データセンター企業、消費者団体の間で「誰がインフラ整備費を負担すべきか」が争点となっている状況下で、企業としての責任を明確にした意味を持つ。同社は、電力料金の見直し、新規インフラ整備費の共同負担、運用効率の向上、そして州・連邦レベルでの安定した電力供給の推進という4本柱の戦略を掲げている。 トランプ大統領も同日、Truth Socialで「米国民がデータセンターのための電気代を支払うべきではない」とし、大手テック企業が自らのコストを負担すべきだと強調。マイクロソフトとの協働を称え、「今後、他社も発表する」と予告。ホワイトハウスは、トランプ氏の発言を参照するのみでコメントを避けた。 消費者団体は、一時的な前向きな姿勢と評価しつつも、詳細の不足に懸念を示す。バージニア州のピードモント環境委員会のジュリー・ボルトウス氏は、「現行のデータセンターと電力会社間の未審査契約は、計画プロセスを破壊し、電力網の信頼性を脅かしている」と指摘。同州最大の電力会社ドミニアン・エネルギーは、47ギガワットの新需要契約を進めており、現在のピーク需要の2倍に相当する。 専門家は、データセンターが「電力網の健全な市民」となるには、新規発電所の建設ではなく、グリッド強化技術やエネルギー効率の向上に投資すべきだと訴える。電力規制の見直しが、消費者の利益を守る鍵となると強調している。マイクロソフトの動きは、今後のテック業界全体の電力負担責任のあり方を示す重要な一歩となる。
