元グーグラーVCがAIで開発したポッドキャスト分析ツール、投資情報の隠れた価値を自動抽出
ベンチャーキャピタル(VC)でかつてグーグルに勤務したトマシュ・トゥングゥズ氏が、AIを活用した独自のポッドキャスト分析アプリ「The Podcast Orchestrator」を自作した。同アプリは、テック系ポッドキャストの内容を自動で音声認識し、登場するスタートアップや創業者の情報を抽出、要約して、自身が運営するVCファーム「Theory Ventures」のCRM(顧客関係管理システム)に自動登録する仕組みだ。トゥングゥズ氏は、毎朝数分で処理が完了し、メールでの要約とAsanaへのタスク作成を自動で行うことで、投資機会のスクリーニングを効率化している。 彼が開発したこのシステムは、単なる音声変換にとどまらず、「エンドツーエンドのAIワークフロー」を実現している。AIエージェントが、登場企業の関連ブログ、GitHubの活動、Hacker Newsの議論、市場規模などを収集し、投資基準に基づいたメモ作成と推薦まで行う。トゥングゥズ氏は、このアプリを約2~3時間で、OpenAIの音声認識モデル「Whisper」とClaude Codeを活用して構築したと明かしている。 彼が動機づけられたのは、毎日40本以上を聞いていたポッドキャストから「α(アルファ)」と呼ばれる差別化された情報を見逃さないためだった。創業者や技術リーダーの深い洞察は、公式資料にはない独自のデータポイントとして存在するため、それをAIで抽出・蓄積することで、将来的な投資判断に役立てる戦略だ。 一方で、同アプリは現在、コマンドラインベースの簡素な構造にとどまっており、一般ユーザー向けには不向き。公開版にするにはさらにAIによるコード生成によるUI改善が必要で、トゥングゥズ氏は「ポッドキャストにはお金が儲からない」として、商業化への意欲は薄いと語った。しかし、ニュースルームやヘッジファンドなど、情報収集に依存する業界では、同様のツールの需要は高いとみられる。
