ギンコ・データポイントとアフェリス、抗体開発性共同研究体制を設立
Ginkgo Bioworksは、バイオロジクス薬剤開発におけるAI活用を加速するため、自社のDatapoints事業から複数の新取り組みを発表した。主な内容は、Apheris社との戦略提携による「抗体開発性コンソーシアム」の設立と、世界初の「AbDev AIコンペティション」の開催である。これらは、抗体薬開発におけるAIモデルの精度向上とデータ基盤の整備を目的としており、GinkgoがAI駆動型薬剤開発のインフラをリードする姿勢を示している。 薬剤開発はコスト増と期間延長が課題であり、AIはその改善に期待されているが、その効果は不完全または閉鎖的なデータセットによって制限されている。Ginkgoは、自社の高度なラボ自動化技術を活用し、従来のデータを補完する高品質・用途特化型データを短時間で生成できるとし、AIモデルの訓練に必要な新しいデータ基盤の構築を進める。特に抗体は臨床応用が進む治療モダリティであり、開発性(安定性、発現性、免疫原性など)の早期予測が成功の鍵となる。 抗体開発性コンソーシアムは、Ginkgo DatapointsとApherisが共同で推進。Apherisのフェデレーテッド学習技術を活用し、企業が自社の機密データを保持したまま、分散型のデータネットワークでモデルを共同訓練できる仕組みを構築。Ginkgoが生成する高品質な抗体データと、各企業の独自データを融合することで、より汎用性の高いAIモデルの開発が可能となる。2026年には複数の抗体フォーマット向けの初期データとモデルが提供される予定で、参加企業の募集を現在進行中。 一方、AbDev AIコンペティションは、抗体開発性予測モデルの現状を評価し、業界標準となる評価基準を確立することを目的とする。Hugging Faceプラットフォーム上で開催され、2024年11月までに参加者がモデルを提出。優勝者には最大6万ドルの賞金が授与される。大学の専門家であるミシガン大学のピーター・テシエ教授は、「抗体AIの最大の課題は高品質データの不足であり、こうしたコンソーシアムとコンペティションは、予測モデルの進化に不可欠な共有データとベンチマークを生み出す」と評価している。 これらの取り組みは、Ginkgoが小分子薬開発でもTangible ScientificやInductive Bioと連携し、AIとラボ自動化を統合する「ラボインザループ」ワークフローを展開していることを踏まえ、多様な治療モダリティへの拡大戦略の一環である。Ginkgo Datapointsのジョン・アンドロサヴィッチGMは、「AIの未来は、協働と標準化にかかっている」と強調。抗体をはじめとする主要薬剤クラスの開発を加速するためのデータインフラと、業界全体の基盤整備に貢献する姿勢が明確になった。 背景として、Ginkgoは合成生物学を基盤に、蛋白質工学、核酸設計、自動化ラボシステムなどを提供する企業。Apherisは、企業のIT環境にAIアプリを安全に導入し、データの所有権を維持しながら共同研究を可能にする企業として、フェデレーテッドAIの先進的プラットフォームを提供している。両社の連携により、知的財産を守りつつ、業界全体のAI開発スピードが飛躍的に向上する可能性が示された。
