2025年、データベースの世界を席巻した5大トレンド:PostgreSQLの急拡大、MCPの標準化、ファイルフォーマットの激戦、大手企業の連続買収、そしてラリー・エリソンの歴史的富豪登頂
2025年、データベース分野は歴史的な変化を遂げた。PostgreSQLの地位はさらに強化され、大手企業のM&Aや新技術の登場で、その影響力は広がり続けた。PostgreSQL 18のリリースでは、非同期I/Oストレージサブシステムの導入や、スキップスキャン(先頭キーがなくてもインデックスが利用可能)といった機能が追加され、OSページキャッシュへの依存を徐々に解消する動きが進んだ。特に注目されたのは、Databricksが10億ドルでNeonを買収、Snowflakeが2.5億ドルでCrunchyDataを買収した点。これらは、PostgreSQLベースのDBaaS(データベース即サービス)への企業の集中投資を示しており、Microsoftも同様に「HorizonDB」というPostgreSQL専用サービスを発表した。 さらに、分散型PostgreSQLの開発が加速した。SupabaseがVitessの共同創設者であるSuguを招聘し、「Multigres」というシャーディングミドルウェアプロジェクトを立ち上げた。一方、PlanetScaleも同様の「Neki」プロジェクトを発表。これにより、PostgreSQLのスケーラビリティを高める競争が本格化。この流れは、PostgreSQLの「PostgreSQL戦争」とも称される、大手クラウドと独立系ベンダーの戦略的対立を生み出した。 2025年は「MCP(Model Context Protocol)」の年でもあった。Anthropicが提唱したMCPは、LLMとデータベースの間で標準化されたJSON-RPCインターフェースを提供。OpenAIの支援を受け、Snowflake、ClickHouse、MongoDB、Redis、YugabyteDBなど、主要DBMSがMCPサーバーを発表。PostgreSQL DBaaS各社も自社のMCP実装をリリース。これにより、AIエージェントがデータベースに安全にアクセスできる基盤が整いつつある。ただし、安易な権限付与は危険で、DBHubやSupabaseがクエリ制限やタイムアウト対策を導入するなど、セキュリティ対策の重要性が強調された。 また、法的・業界的動向も注目された。MongoDBがFerretDBに対して提訴。FerretDBはMongoDBのAPIを模倣し、PostgreSQL上で動作するミドルウェアを提供していたが、名称(MangoDB)や機能の類似性が問題視された。この訴訟は、API互換性の法的境界を問う象徴的な出来事となった。 ファイルフォーマットの分野でも、Parquetの独占が揺らがれた。SpiralDBがVortexをLinux Foundationに寄付し、F3、Anyblox、FastLanesなど5種類の新フォーマットが登場。Parquetの互換性問題(94%がv1の機能のみ使用)が顕在化し、WASMを用いたデコーダーの導入が注目された。 最後に、Larry Ellisonの年。Oracleの株価上昇により、彼は世界一の富豪に。3930億ドルの資産を有し、歴史上最大の富を記録。これにより、データベース技術が経済的・社会的影響力を持つ頂点に立ったことが示された。2025年は、PostgreSQLの台頭、MCPの普及、AIとの融合、そして人間の経済的頂点に至る、データベースの「歴史的年」だった。
