ヤン・レクンが率いるAMI Labs、世界モデル開発でAIの次世代を狙う
Yann LeCun氏が新しく設立したAIスタートアップ、AMI Labs(Advanced Machine Intelligence Labs)の背景とビジョンが明らかになった。LeCun氏はMetaを退職後、世界モデル(world models)の開発を軸に据えたこの企業を立ち上げ、AIが現実世界を理解できる「真の知能」の実現を目指している。AMI Labsのウェブサイトでは、「現実世界を理解する知能システムの構築」をミッションに掲げ、大規模言語モデル(LLM)の限界を補う新たなアプローチを採用すると明言している。 世界モデルとは、物理法則や時間の流れ、センサー情報などを統合的に理解し、予測・計画・記憶を可能にするAIの枠組みであり、LeCun氏はこれこそが「言語から始まるのではなく、世界から始まる知能」の本質だと主張している。この分野は、AI研究の最前線にあり、同業他社のWorld Labs(Fei-Fei Li氏が創業)が3D世界生成ツール「Marble」で注目され、50億ドルの評価額を獲得していることからも、投資家からの関心が高まっている。AMI Labsも35億ドルの評価で資金調達を検討しており、Cathay Innovation、Greycroft、Hiro Capitalなど複数のVCが関与していると報じられている。 AMI LabsのCEOは、医療AIスタートアップNablaの共同創業者で元CEOのAlex LeBrun氏が務める。LeBrun氏は、Nablaとのパートナーシップのもと、AMIへの移籍を実現。LeCun氏は執行副社長として、研究戦略を牽引する立場に。LeCun氏はNYUの教授も兼任し、毎年1回の授業と博士研究指導を続ける。一方、AMI Labsの本社はパリに置かれ、ニューヨーク、モンタリオ、シンガポールにも拠点を持つ。フランス大統領エマニュエル・マクロン氏は「LeCun氏がパリを選んだことは、フランスのAI強化への象徴」として歓迎している。 AMI Labsは、医療、ロボット工学、産業自動化、ウェアラブルデバイスなど、信頼性と安全性が求められる分野に向けた技術提供を計画。LLMの「幻覚」や不確実な入力への脆弱性を克服するため、持続的記憶、推論、計画能力を持つAIの開発を目指す。また、学術界との協力を重視し、オープンソースや公開論文を通じてAIの未来を共に築く方針だ。AMIの名称はフランス語で「友」を意味する「ami」とも重なり、LeCun氏の意図が込められている。
