テスラ、全自動運転の普及に苦戦 1000万件のサブスクリプション目標に課題
エロン・マスク氏は、テスラの未来を自動運転技術に賭けている。しかし、現状ではユーザーのFSD(フル・セルフドライビング)サービスへの導入は進んでいない。テスラのCFO、ヴァイバーヴ・タネジャ氏は、第3四半期決算発表会で「FSDを有料で利用しているユーザーは現在の車両保有台数の約12%にとどまる」と述べ、採用率の低さを認めている。また、FSD関連の収益は前年同期の3億2600万ドルから減少した。これは、昨年導入された「実際のスマートサモン」やサイバートラック専用機能などにより、一時的な収益認識が前倒しになったためと説明されている。 FSDは8000ドルの一度払いまたは月額99ドルのサブスクリプションで利用可能。テスラは今後、ソフトウェアバージョン14のリリースや「マッドマックスモード」(高速走行と頻繁な車線変更)といった新機能を追加し、ユーザーの関心を引きたいとしている。しかし、欧州や中国など主要市場では規制の壁が高く、現時点で導入は「承認待ち」状態。米国でも、FSDが赤信号を無視したり、混雑した交通に進入する事例が相次ぎ、連邦自動車安全監視機関(NHTSA)が調査を開始。また、2019年の致命的な事故でAutopilot(FSDの前身)が関与したとして、フロリダ州の裁判所がテスラに2億4250万ドルの賠償を命じる判決が出た。テスラはこの判決に異議を申し立てている。 こうした課題にもかかわらず、マスク氏はFSDの将来に強い期待を示している。彼は「自律運転の普及は想像以上に急速に進む。まるで衝撃波のように」と語り、将来的なロボタクシー事業の展開を視野に入れている。また、マスク氏が提案する1兆ドル規模の報酬制度の目標の一つとして、「2035年までにFSD利用者を1000万人に増やす」ことが掲げられている。テスラは自動運転技術の実現により、自動車販売の拡大と企業価値の飛躍を狙っているが、技術の信頼性と規制対応が最大の課題となっている。
