マスクAI、幹部続出離脱の裏に内紛と財務懸念
エロン・マスク氏が率いる人工知能企業「xAI」で、数か月間にわたり複数の幹部が相次いで退任しており、その背景に内部の対立と経営方針の違いがあると、ウォールストリートジャーナルが報じた。退職した幹部には、4月に就任したばかりの元最高財務責任者(CFO)マイク・リバレイトリ氏が含まれ、彼は7月に退社した後、マスクの対立者であるサム・オルトマン氏が率いるOpenAIに移籍した。また、同社の法務責任者であるロバート・キール氏も、2024年5月に就任してわずか1年足らずで8月に退職。彼は自身のLinkedInで「仕事は夢のようだったが、子どもたちと過ごす時間が少なかった」と述べつつ、「マスク氏とこの技術に取り組む機会は人生最大の冒険だった」と感謝の意を示した一方で、「私たちの価値観にズレがある」と含みのある発言もした。 さらに、X(旧Twitter)の元CEOで、xAIのチャットボット「Grok」の主要インターフェースを担っていたリンダ・ヤッカリーノ氏も、2023年5月の就任から2年余りで7月に退任。彼女はマスク氏に「自由な発言を守る責任」を委ねられたことに感謝しつつ、会社の再建に貢献したと語った。 WSJの報道によると、退職の背景には、マスクの親密な顧問であるジェレッド・バーチャルとジョン・ヘリングが経営を担う中で、幹部たちとの間で管理スタイルや財務計画に対する不満が生じたとされる。一部の幹部は、明確な指揮系統がなく、判断が一元化されていないと感じており、財務予測の現実性にも懸念を抱いていたという。 これに対し、マスク氏の弁護士アレックス・スプロ氏は、内部対立や財務不正の指摘は「事実無根で誹謗」と断じ、否定した。xAI側も、マスク氏がAIの進展を「人間の利益のために」最優先に推進していると強調した。 この状況は、AI業界全体の激しい人材争奪戦の一端でもある。Metaは高給を提示して人材を獲得し、OpenAIやDeepMindも人材流出に苦しんでいる。さらに、マスク氏とオルトマン氏の個人的対立は、両社間の法的対立へと発展。2024年8月には、xAIが元エンジニアのOpenAI移籍を理由に、知的財産の盗用を訴えた。 xAIの高層幹部の流出は、マスク氏の経営スタイルと、AI開発におけるスピードとビジョンの衝突が背景にある可能性が示唆されている。
