Apple、TSMCの生産能力をめぐりNvidiaに後れを取る状況に
アップルが台湾の半導体大手TSMCの生産能力をめぐって激しく競争している。2024年8月、TSMCのCC・ウェイCEOがカリフォルニアのアップル本社を訪問し、同社に過去数年で最大となる価格引き上げを通知。これは、TSMCの収益が急上昇し、価格交渉力が強まっている背景にある。しかし、最も深刻な問題は、アップルがかつてTSMCの最大顧客だった時代が終わり、現在はAIチップの需要急増によって、NVIDIAやAMDといったHPC(高性能計算)向け顧客に生産リソースが大きくシフトしていることだ。 Culpiumの分析と供給チェーン関係者の情報によると、2024年の一部四半期ではNVIDIAがTSMCの最大顧客に躍り出た可能性がある。同社の2026年3月期までの売上高は前年比62%増と急成長する一方、アップルの製品売上高(サービス除く)は3.6%程度の伸びにとどまる。TSMC全体の売上高は前年比36%増の1220億ドルに達し、その成長の多くはAIチップを含むHPC分野の48%増に起因している。一方、スマートフォン関連の売上は11%増にとどまり、前年比の23%増から鈍化している。 TSMCは2026年も売上高が30%近く伸びる見込みだが、設備投資(CAPEX)は520億~560億ドルに達し、歴代最高水準。特に、2ナノメートル(N2)プロセスの量産を開始し、2025年後半にはN2PとA16という新しいプロセスノードの量産を進める。A16は複雑な信号ルートに最適化された「Super Power Rail」技術を採用し、HPC向けに最適化されている。一方、2028年にはA14と呼ばれる次世代ノードが量産開始予定で、これはモバイルとHPCの両方を想定して設計されている。このため、将来的にはアップルの影響力が再び強まる可能性がある。 現時点ではNVIDIAやAMD、グーグル、アマゾンといったAIチップ開発企業がTSMCの生産リソースを独占的に求めているが、アップルはMacやアクセサリ用のカスタムチップなど、多様な製品ラインを持つ。そのため、長期的にはTSMCにとって依然として不可欠な存在である。しかし、近い将来のAIブームの下では、アップルも生産枠を「争いながら」確保しなければならない状況が続くと見られている。TSMCのウェイCEOは「リスクを過剰に回避するより、過剰投資のリスクの方が大きい」と述べ、慎重な拡張を続ける姿勢を示している。
