医療現場に進出するロボット、今後は人間型が本格導入へ
米国では、医療現場に次々と導入されているロボットが、他の産業への展開も目前にしている。カリフォルニア州ロサンゼルスのセダーズ・シンай病院では、ナースアシスタント「モキ」が、患者の部屋を回り、検体を回収し、洗面用品を届ける。タスク完了後、ブルーのLEDがハートマークを点滅させ、エレベーターを呼び、次なる仕事へと静かに移動する。このロボットは、テキサス州オースティンに拠点を置くディリジェント・ロボティクスが開発。現在、全国で約25の病院に導入されており、主に後方業務、たとえば布団や薬品の搬送、患者の持ち物回収などを担当している。 病院の看護責任者であるデイビッド・マーシャル氏は、2年前から3台のモキを導入。後方業務の負担軽減により、スタッフが患者ケアに集中できるようになったと語る。また、患者や家族、子どもたちからも好意的な反応があり、「手術後の患者が『モキにまた来てほしい』と頼んだ」というエピソードも。一方で、マーシャル氏は「ロボットは物を触るだけで、患者の手を握ったり、額を拭いたりすることはできない」と、人間の役割の不可欠さを強調している。 こうした動きの先には、人間型ロボットの登場がある。アプトロニクス社のジェフ・カーデナスCEOは、人間と同じサイズで動作できる人型ロボットが、工場や家庭、病院といった人間が使う空間に自然に溶け込むと説明。同社の「アポロ」は、高齢者の介護支援を目的に開発され、認知症の祖父母を支える夢を実現したいと語る。 ブロードウェイ証券のアナリスト、ゾルニツァ・トドロヴァ氏は、人型ロボット市場が今後10年で2000億ドル規模にまで拡大すると予測。製造、農業、防衛、医療分野での人手不足解消が期待される。カリフォルニア大学サンディエゴ校のマイケル・イップ准教授は、10年以内に外科手術の補助ロボットが登場すると予想。特に軟組織の切断など、リスクの低い手術では自律動作が可能になると見ている。 世界有数の富豪であるイーロン・マスク氏も、テスラが開発中の人型ロボット「オプティマス」を年内に複雑なタスクをこなせる段階にし、来年には一般販売を目指すと発表。医療現場での活用は、人間のケアと機械の効率性の融合を実現する鍵となる。
