DeepAFM がノイズの多い画像から 93.4% でタンパク質の運動を解読
東京理科大の森隆太郎准教授らが、タンパク質の動きを解析する新たな深層学習手法「DeepAFM」を開発しました。この手法は、高速度原子間力顕微鏡(HS-AFM)で撮影されるタンパク質の noisy な画像からノイズを除去し、タンパク質の形状を 93.4% の精度で特定します。タンパク質は生体内で絶えず動き、形を変えていますが、従来の HS-AFM 画像は走査時の時間差や背景ノイズの影響を受け、正確な構造把握が困難でした。特に、ノイズに過剰適合する問題は、タンパク質の真の構造特徴を捉える上で大きな障壁となっていました。 研究チームは、分子動力学シミュレーションを用いて、理想的な画像だけでなく、実験的なノイズや走査歪みを組み込んだ数百万枚の合成画像を生成し、DeepAFM の学習に活用しました。特に、閉じた状態と大きく開いた状態を切り替える SecA タンパク質を対象に訓練を行った結果、テスト画像 80 万枚で 19 種類の conformations を 93.4% の精度で正しく分類することに成功しました。また、実際の実験データへの適用でも、独立した測定結果と一致するタンパク質の構造状態を推定できることが確認され、実用性が裏付けられました。画像のノイズ低減効果は 0.1 nm 以下の誤差レベルに達し、高解像度な構造解析を可能にしています。 この研究は、単一のタンパク質に限定されず、転移学習の技術を活用することで他の生物分子システムにも応用できる可能性があります。開発には東京理科大の佐藤勝輝さん、名古屋大学の内林達幸博士・金岡結衣博士、奈良先端科学技術大学院大学の塚崎智也博士らが関与し、成果は「Journal of Chemical Information and Modeling」に掲載されました。森准教授は、本手法がノイズの多い HS-AFM データ解析の新たな戦略となり、タンパク質ダイナミクス研究を促進すると述べています。今後の展望として、理化学研究所と富士通、NVIDIA が共同開発する次世代スーパーコンピュータ「Fugaku NEXT」に向けた AI ドリブン研究の基盤整備にも貢献することが期待されています。2030 年頃の運用開始を目指すこのプロジェクトは、タンパク質機能の理解を深め、創薬やバイオテクノロジーへの応用を加速させる画期的な進展となるでしょう。
