ピエール・ファブールとイクトス、AIとロボティクスでがん治療薬開発の連携を発表
フランスの製薬企業ピエール・ファブール研究所と人工知能(AI)を活用した創薬企業イクトスは、がん治療を目的とした統合型AI創薬共同プロジェクトを発表した。この提携は、計算科学、医薬化学、生物学、臨床開発の分野でそれぞれの強みを融合し、新しい小分子医薬候補物質の発見と開発を加速することを目指している。イクトスは自社の生成AIプラットフォームを活用して、未公開のがん標的に対する最適化された候補化合物を迅速に設計。ピエール・ファブール研究所は、長年にわたるがん研究の知見と臨床前開発のノウハウを提供し、候補物質の選定・評価・開発プロセスを指導する。 両社の共同開発は、AIによる分子設計と自動化学合成、生物学的評価を統合した「AI+ロボティクス」型創薬の実践を示す。ピエール・ファブール研究所のデータサイエンス統括アューディ・カウフマン氏は、「AIを活用した研究開発体制の構築という重要な一歩」と評価。イクトスの共同創業者兼CEOヤン・ガストン=マテ氏も、「ピエール・ファブールの臨床開発力とイクトスの生成AI技術の相乗効果により、がん患者に意義ある治療薬を迅速に届ける体制を構築できる」と述べた。 ピエール・ファブール研究所は、がん治療分野で長年の実績を持つ。EGFR変異型非小細胞肺癌向けのPFL-241やPFL-721、MET遺伝子変異を標的とするPFL-002、およびパントラフ阻害薬エクサラフェニブなど、複数の新規候補薬を臨床開発段階に進めており、2024年のがん関連売上は5.2億ユーロ(うち国際売上88%)を記録。研究開発予算の60%を標的療法に割り当てており、現在10のがん治療向け研究プロジェクトが進行中。 イクトスは2016年の設立以来、AIによる分子設計とロボティクスによる自動合成を組み合わせた創薬プラットフォームを確立。これまでに60以上の成功プロジェクトを実施。2023年には1550万ユーロのシリーズA資金調達を実施し、2024年には細胞イメージング技術を持つSynsight社を買収。2025年には欧州イノベーション理事会(EIC)から250万ユーロの助成金を獲得し、今後の技術強化が期待されている。 この提携は、AIを活用した創薬の実用化に向けた重要な前進であり、がん治療の新たな可能性を拓く動きとして注目されている。
