2026年、AIの「成果」が問われる年へ——VCが予見するテックトレンドの行方
2026年、ベンチャーキャピタルの注目は「成果の可視化」と「実用化」に移りつつある。AIへの過剰な投資が続く中、企業は「成果を示せ」という声が高まり、「Show me the money」の年と呼ばれる。投資家たちは、AIが単なるツールではなく、実際の業務を担う「従業員」として機能する時代が到来すると予測している。Sapphire Venturesのカシー・ゴウ氏は、AIエージェントが予算や支出制限を持ち、返金や在庫購入といった業務を自律的に行うようになるとし、企業は「仕事の成果」に対して支払いを行うビジネスモデルが広がると指摘。一方、Bessemer Venture Partnersのリンジー・リー氏は、過去2年間で生成されたAIコードが不整合や保守困難な状態に陥っているとし、その修正を専門とする「自動メンテナンスエージェント」が登場すると予想。 小型チームによる高効率開発がさらに加速する。Greycroftのブライアン・ブスタマント=ニコルソン氏は、リモートワークとAIの融合により、消費者企業が少ない人員で大きな成果を上げる傾向が強まると分析。Rebel Fundのジェレッド・ハイマン氏は、AIを用いたAI開発のサイクルが進み、数名の創業者で年間収益(ARR)1億ドルを超える企業が現れる可能性を示唆。 また、テキスト中心のAIから「視覚・音声・会話」を統合するマルチモーダルAIへの移行が進む。WestBridge Capitalのマンタン・シャー氏は、音声による自然な対話がカスタマーサポートや営業の基盤になると予測。Cathay Innovationのシモン・ウー氏も、音声と映像を理解するAIがロボットや現場作業のインフラとして不可欠になると強調。この分野で急成長する企業が複数登場する可能性がある。 一方で、過剰に評価されたスタートアップへの修正も始まる。Defy.vcのメディア・アガラワル氏は、AI投資のROIが実現しなければ、プロトタイプの延期やキャンセルが相次ぐと警告。Menlo Venturesのヴェンキー・ガネサン氏は、AI企業の倒産や深刻な財務問題が発生する可能性を示唆。 さらに、AIエージェントが個人のデジタルライフ全体を管理する「生活の自動化」が進み、AIとの関係が社会的に受け入れられるようになる。また、データラベリング市場が急拡大し、法律や医療など特定分野での専門モデル開発が加速する。2026年は、AIの「夢の時代」から「実績の時代」へと転換する年となる。
