AIがECGだけで予備糖尿病を検出 血液検査不要の新モデル開発
東京科学大学の研究チームが、血液検査を必要とせずに心電図(ECG)データから前糖尿病を検出する人工知能(AI)モデル「DiaCardia」を開発した。このモデルは12リードまたは単一リードのECGデータを用いて、前糖尿病の有無を高精度で識別可能で、今後はスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを活用した家庭内スクリーニングの実現が期待されている。 前糖尿病は、血糖値が通常より高いが糖尿病と診断されるほどではない段階で、生活習慣の改善によって糖尿病への進行を防ぐことができる重要な時期である。しかし、無症状のため検出が難しく、血液検査のコストや受診のハードルが課題となっていた。今回、小宮千佳(准教授)、金田亮(博士課程学生)、山田哲也(教授)らの研究チームは、16,766件の健康診断データを用いてAIモデルを構築。データには空腹時血糖値(FPG)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)および12リードECGが含まれており、前糖尿病/糖尿病の定義はいずれかの基準(FPG≥110mg/dL、HbA1c≥6.0%、糖尿病治療中)を満たすことで判定した。 DiaCardiaはLightGBMアルゴリズムを採用し、ECG波形から抽出した269の特徴量を分析。内部検証では、AUROC(受信者動作特性曲線下の面積)が0.851と高い精度を達成。外部データセットでも再訓練なしで同等の性能を示し、一般化能力が確認された。SHAP解析により、拡大電圧左側のR波振幅の上昇や心拍変動の低下が主要な予測因子であることが判明。これらはインスリン抵抗性や自律神経障害と関連する生理的変化であり、モデルの妥当性を裏付けている。 さらに、単一リード(リードI)データでも28の特徴量でほぼ同等の性能を発揮。この点が、スマートウォッチなど小型デバイスでの実用化に向けた大きな前進となる。研究チームは、「DiaCardiaは血液検査なしに、いつでもどこでも前糖尿病をスクリーニングできる可能性を秘めており、糖尿病予防に貢献する」と述べている。
