AIとライブ映像で進化する空軍の機体整備、KC-135の危険なタンク点検が60%効率化
米空軍の給油機整備作業に、最新の技術が導入され、長年の危険で過酷な作業が大きく改善されつつある。KC-135ストラトターキャーなどの給油機は、戦闘機や爆撃機が長距離飛行できるようにする「静かな支援要員」として、空軍の戦力拡張の基盤を支えている。しかし、燃料タンク内部の整備は、50年以上変わらない手法で行われており、整備士は狭く暗い空間に体を引きずり込み、防護服と呼吸器を装着して、手探りでシール剤の除去やリベットの締め直しを行う。通話も不安定で、必要な工具を届けるまでに時間がかかり、作業効率が著しく低下する上、誤作業や工具の残りも頻発していた。 こうした課題を解決するため、メトロスターやアクションストリーマーが開発した「統合呼吸器情報システム(IRIS)」が導入された。IRISは、整備士のマスクに装着する高精細カメラ、双方向通話機能、手を離さずに使えるライトを備え、作業現場の映像を外部の支援チームにリアルタイムで送信できる。支援チームは、モバイルワークステーションで映像を確認し、指示を出すだけでなく、作業記録を保存。これにより、作業の検証やトラブル時の責任の明確化が可能になり、無駄な再作業が減った。 さらに、AIが作業データを分析し、必要な部品の手配や書類作成を自動化。整備士は「浅い作業」から解放され、作業終了後に片付けや帰宅に集中できるようになった。ミルデンホール空軍基地での試験では、検査時間は60%短縮され、安全事故はゼロ。開発元のメトロスターは、IRISの導入で年間3万5千時間の整備労働時間を削減し、航空機の稼働日数を7千日以上増加できると予測している。 この技術は、現場の整備士たちが長年抱いていた課題意識から生まれた。当初は技術が未熟で断念されたが、近年の小型化と通信技術の進化により実現。空軍の関係者も「次世代の整備士に、今より良い道具を残す必要がある」と語る。IRISは今後、他の基地への拡大が検討されており、空軍の整備作業の近代化に大きな一歩を刻んでいる。
