ボストン・ダイナミクスが進化させるアトラス:超人的な動きとAI搭載で人間を超えるロボットの実現へ
ボストン・ダイナミクスが開発する人型ロボット「アトラス」の進化が、最新の映像で明らかになった。2021年の『60 Minutes』取材当時は、走ったりジャンプしたりする能力は備えていたが、動きは硬く、機械的だった。しかし現在のアトラスは、カートウェル(体を回転させながら前転)、ダンス、人間のような滑らかな走行、全身を360度回転させる能力を備え、床に倒れても足だけで自力で立ち上がる。対応する記者のビル・ホイターカー氏は、「人間ができないような姿勢で立ち上がる。四肢は人間の限界を超えて動く」と驚きを示した。 同社CEOのロバート・プレイター氏は、アトラスの「超人的な」可動域が、同社のロボット開発の根本理念であると説明。「人間のできることにとらわれず、むしろそれを超える設計が重要だ」と語った。特に、上半身を180度回転させるだけで方向転換できる点は、人間の物理的制約を打破している。この実現の鍵は、関節部に配線を設けず、回転部を完全に自由にした設計にある。ロボット研究責任者のスコット・クインダースマ氏は、「配線の摩耗による信頼性問題を回避できる」と説明。これにより、長期間の運用とメンテナンスのしやすさが向上している。 また、アトラスはNvidiaのチップを搭載したAIを搭載。タスク学習には「遠隔操作(teleoperation)」が使われる。人間がVR装備を使ってロボットを操作し、カップを積み上げたり、結び目を作ったりする動作を繰り返すことで、アトラスが自動で習得する。手の部分は3本の指で構成され、位置や形状を変えることで、小さな物をつまむ「二指対向 grasping」と、大きな物を掴む「広がったグリッピング」の両方に対応。指先には触覚センサーがあり、適切な力加減で物を扱う学習が可能だ。 しかし、クインダースマ氏は「力の制御や、グリッパーの精密な操作はまだ課題。より高度な操作を実現するための改善の余地は大きい」と指摘。ホイターカー氏は、人型ロボットに対する期待が高まる一方で、「実際の普及には時間が必要」と述べ、プレイター氏も「AIやソフトウェアの進化は速いが、信頼性とコストを確保するハードウェア開発には時間がかかる」と述べ、現実的な展望を示した。
