AIの影響で大手コンサルから幹部が流出、スタートアップや中堅企業へ移籍の波
コンサルティング業界で、大手4社(Big Four)やMBB(マッキンゼー、ボストンコンサルティンググループ、バーティス)の上層部エグゼクティブたちの「人材流出」が深刻化している。長年にわたり、パートナーへの昇進はキャリアの頂点とされてきたが、近年はAIの急速な進展や業界構造の変化を背景に、多くの幹部が中小企業やスタートアップへの移籍を検討するようになっている。 Business Insiderが取材した元Big Fourの幹部たちによると、移籍の主な理由は「スピード感」「意思決定の自由」「影響力の大きさ」にある。特に、大手企業の遅い意思決定プロセスや官僚的構造に辟易している声が多い。たとえば、デロイトでAI部門を立ち上げたゲルト・デ・ゲイター氏は、AI専門のスタートアップ「テラゴニア」に移籍。彼は「スタートアップはAI市場の変化に瞬時に対応できる。それが魅力だった」と語っている。 また、アセンチュアのマネージングディレクターを18年間務めたスリ・スリパダ氏も、プライベートエクイティ支援の中小コンサルタント「ウエストモアーン」に移籍。同社の「従業員所有モデル」に惹かれたと明かしている。 市場全体の需要がCOVID以降に減少し、大手のパートナー層は「人材過剰」状態に陥り、昇進のハードルが上がったことも要因。一部では、希望通りの昇進が得られず、自らのキャリアを再設計する動きが広がっている。例えば、EYでパートナーになった後も「もう一つの階段の下」にいる感覚に陥ったナーギス・ユニス氏は、2021年にForvis Mazarsに移籍。わずか数年でアセットマネジメント部門の責任者に就任し、「自分自身が変化を創れる」と実感している。 一方、大手企業も対応を模索。EYやPwCは、地域主導型の経営体制や近海・海外リソースの活用を検討。AIを活用した人材育成や、新たな報酬・所有構造の導入も進めており、流出を食い止める戦略を模索している。 しかし、変化のスピードに追いつけるかは不透明。AIの変革を先導したいと願う高レベル人材にとって、大手の「変化の遅さ」は致命的リスクとなっている。今後、大手企業が「伝統のDNA」を保ちつつも、起業家精神を求める人材を惹きつけるかが、存続の鍵となる。
