グーグルのAI概要まとめ機能を巡りローリングストーンが提訴、ウェブの健全性とAIのバランスが論点に
グーグルがAIによる検索要約「AIオーバービュー」の導入を巡り、出版業界との対立が深刻化している。ニューヨークで開催されたAIサミットで、グーグル政府関係・公共政策担当バイスプレジデントのマークハム・エリクソン氏は、ローリングストーンの親会社であるペンス・メディアコーポレーション(PMC)が提起した訴訟について、ユーザーのニーズが「事実に基づく答え」から「文脈を踏まえた要約」へと移行していると説明。同社は「10ブルーリンク」(従来の検索結果)とAI要約の両立を維持し、「健全なエコシステム」を守るという方針を示した。しかし、PMCは、AIオーバービューの導入により、自社のコンテンツ(ローリングストーン、ハリウッドレポートなど)へのアクセス数が大幅に減少し、広告収益やサブスクリプション収入に深刻な影響が出ていると主張。特に、AI要約が検索結果の上位に表示されることで、ユーザーが元の記事にクリックする動機が失われ、結果としてサイトへの流入が激減していると指摘。さらに、グーグルがウェブサイトのインデックス化(検索可能にする)を条件に、コンテンツのAI利用権を強制的に要求しているとも訴えている。 一方、グーグルは訴訟を「根拠のない主張」と断じ、発言者ジョセ・カスタネダ氏が「AIオーバービューによりユーザーは検索をより活用し、コンテンツの発見機会が増加している」と強調。同社は、前年比でクリック数が「相対的に安定している」と主張し、クリックの「質」(滞在時間など)が向上していると説明。しかし、実際のデータは逆の傾向を示している。DMGメディア(デイリーメール運営)は、AIオーバービュー導入後、CTR(クリック率)が最大89%低下したと報告。ウォールストリートジャーナルの報道では、ビジネスインサイダー、ワシントンポスト、ハフポストも同様の傾向を確認。ピュー研究所の調査では、AI要約が表示された検索結果のクリック率は、要約なしの場合の約半分にまで低下している。 こうした状況を踏まえ、グーグルのAIアシスタント「Gemini」に「AIオーバービューは出版者のトラフィックを減らしているか?」と尋ねると、「はい、多くのウェブサイトや出版者にとってトラフィック減少が起きている」と回答。これは、グーグル自身の主張と矛盾する内容であり、信頼性に疑問を呈する状況となっている。専門家らは、グーグルの検索市場支配力が、コンテンツ提供者に不利益をもたらす「強制的条件」を押し付けており、公正な競争環境の崩壊を危惧している。AI技術の進展と出版業界の生存戦略の対立が、今後も法廷や市場の焦点となる見通しである。
