2025年、AIバブルの過熱にVCたちが警鐘 2026年は「清算の年」か
2025年はベンチャーキャピタル(VC)の「FOMO(後悔する恐れ)」が極まった年だった。AI分野のスタートアップが数か月ごとに何億ドルもの資金を調達し、実績のない企業でも数十億ドルの評価額を獲得する事態が相次いだ。しかし、一部のVCはこうした過熱状態に警鐘を鳴らしている。メンロ・ベンチャーズのディーディ・ダス氏は「2026年は清算の年になるだろう」と指摘。億ドル評価で収益ゼロの企業が20社以上存在する現状に、「すべてが成功するわけがない」と危機感を示した。 シリコンバレーでは、OpenAIのサム・アルトマンCEOも「バブル状態にある」と明言し、1990年代のドットコムバブルと類似するリスクを警戒している。公共市場も揺れており、AIデータセンターへの巨額投資のリスクが懸念され、コアウェイブやNVIDIAの株価が急落した。 VCはAIスタートアップに大金を投じる一方で、自身の資金調達は難航。2017年以来最悪の資金調達年になる見通しで、ダス氏は「市場の修正が避けられない」と分析。特に、会社を設立すらしていない段階で5000万ドルを調達するケースが相次ぎ、「企業の基礎が整っていないのに高評価を受けるのは、業界の状態に疑問を呈する」と語った。 2025年には、1000万ドル以上のシードラウンドが約700件に上り、過去最多を記録。元OpenAIのCTO・ミラ・ムラティ氏は、実績ゼロで20億ドル調達、現在は500億ドル評価での資金調達を検討。AI研究者エリック・ゼリクマン氏や、データブリックス元AI責任者ナヴィーン・ラオ氏も、それぞれ10億ドル、47億5000万ドルの資金調達を実現。こうした現象の背景には、「次なるOpenAIを逃すまい」というVCの焦りがあるとされる。 一方、ファウンデーション・キャピタルのジョアンヌ・チェン氏は、飲酒年齢未満の若手起業家がAIラボ出身でゼロの経験ながら巨額資金を調達する現象に驚き、「ビジネス構築のスキルがないままでは、今後の『血の雨』が避けられない」と警告。VCはこれまでの優位性を失い、起業家がすべての交渉の主導権を持つ状況に。投資家は最初の会話で自分たちを売り込む必要があり、情報収集や面談の機会も減り、判断のリスクが高まっている。 それでも、多くのVCはAIの長期的ポテンシャルを信じており、実績や収益がある点で2000年のバブルとは異なると強調。特に、成長性と効率性が過去最高を記録する企業が続出しているという。VCの多くは「少数の勝ち組が全体を支える」というパワーロウに従い、過熱の中でも「正しい選択」を信じている。最終的には、誰もが自分たちの投資が次の「特異な成功企業」になると信じている。
