テスラ、Dojo3を再開へ「宇宙向けAI計算」に注力
エロン・マスク氏は、テスラが再び「Dojo3」と呼ばれる第三世代AIチップ開発を再開すると発表した。このプロジェクトは、かつて中止されていたが、今度は地球での自動運転モデル学習ではなく、「宇宙ベースのAI計算」を目的としている。マスク氏はX(旧Twitter)上で、この戦略の転換は社内のチップ開発ロードマップの進捗に基づくと説明。特に、TSMC製のAI5チップが「良好な状態」にあると強調した。AI5は自動運転システムや人型ロボット「オプティマス」の動作を支える設計だ。また、昨年夏にサムスンと締結した165億ドル規模の契約により、次世代のAI6チップ開発も進行中。その上、AI7/Dojo3は「宇宙空間におけるAI計算」に特化すると明言した。 この発表は、マスク氏がかつてのAIチップ開発チームを解散させ、NvidiaやAMD、サムスンなど外部サプライヤーに依存する方針に転換した後、再び自社開発を再評価したことを示している。彼は、再建されたチームを募るために直接エンジニアを呼びかけ、「世界で最も大量生産されるチップに携わりたいなら、[email protected]に3つの技術的課題の解決経験を記載して連絡を」と呼びかけた。 この発表のタイミングも注目される。2026年のCESで、Nvidiaが自律走行向けオープンソースAIモデル「Alpamayo」を発表。これに対し、マスク氏は「稀なエッジケースの対処は極めて難しい」としながらも、「成功してほしい」と述べ、競合への敬意を示した。一方で、地球の電力インフラが限界に達している中、AIデータセンターの宇宙転換が将来の鍵になると主張。Axios報道によれば、OpenAIのサム・アルトマン氏も宇宙データセンターの可能性に注目している。マスク氏の優位性は、自社のスペースXが発射体を保有している点にある。彼は、Starshipによる衛星コンステレーションの打ち上げを計画。宇宙空間で常時太陽光を受ける構造により、24時間稼働可能な冷却不要型計算環境の実現を目指す。 ただし、真空環境での冷却や、衛星間通信、コスト管理など、技術的・経済的課題は多数存在する。マスク氏の発言は、一見SF的なビジョンに見えるが、彼の特徴的な戦略――「不確実なアイデアを提示し、実現可能にするまで全力で推進する」――が繰り返されている。
