Anthropic、計算資源を効率的に活用する戦略でAI先端を維持
アントロピック(Anthropic)の共同創業者で社長のダニエラ・アモデイ氏は、AI開発の「規模至上主義」に反し、「より少ないリソースでより多くを達成する」戦略が、同社がAIの最前線に留まっている鍵だと語った。同社は、シリコンバレーの主流である「巨大なデータセンターと膨大な計算資源の投入」に代わる道を模索しており、その根幹にあるのは、高品質な訓練データ、効率的な後処理技術、そして運用コストを抑える製品設計だ。 アントロピックは、競合企業に比べて計算資源や資金の面で大幅に劣る状況ながら、数年間にわたり、性能面でトップクラスのモデル「Claude」を次々とリリース。同社は、AIの発展が「スケーリング法則」に従うとされる中で、その法則の先駆者でもあるアモデイ兄弟が、自らの信念に反して、効率性と持続可能性を重視する戦略を採用している。 ダニエラ氏は、業界で語られる「計算資源の規模」に関する数字が、実際には比較できないケースが多いと指摘。ハードウェア調達の長期契約や、投資家の期待による過剰なコミットメントが、実際の需要やビジネスの実装速度を追い越すリスクがあると警鐘を鳴らした。また、AIの技術的進歩は依然として指数関数的だが、企業や個人がその能力を業務に活用するには、組織の変化や人間の抵抗といった「実装の摩擦」が存在し、その速度は遅いと強調した。 アントロピックは、企業向けのAI提供に特化。Claudeは主要クラウドプラットフォームで利用可能で、大手企業の多様なインフラ要件に応じた柔軟な展開が可能。この「マルチクラウド戦略」は、自社のインフラに依存しない柔軟性を確保しつつ、コストや需要に応じて計算資源を最適化する戦術だ。 同社の売上は3年連続で10倍に伸び、企業からの採用が消費者向けアプリよりも安定している。2026年を迎えて、アントロピックとOpenAIの両社は、まだプライベート市場にいるものの、IPO準備として財務体制やガバナンスの強化を進めている。この中で、市場が「規模」ではなく「効率性」を評価するようになれば、アントロピックの戦略が優位に立つ可能性がある。 結論として、ダニエラ氏は「指数関数はいつか止まる」と述べ、AI競争の次のフェーズでは、単なる規模ではなく、持続可能な効率性が勝敗を分けると断言した。
