AIはゼロサムゲームではない――元ドリームワークスCEOがVCとしての見解を語る
デューンワークス元CEOで、VC企業WndrCoを共同設立したジェフ・カッツェンバーグ氏は、AIの発展は「ゼロサムゲーム」ではなく、すべての企業が勝ち抜くわけではないが、一つの勝者にすべてが集まることもないと強調した。10月14日発表の「Sourcery」ポッドキャストで、カッツェンバーグ氏は2026年が、AIの実効性を示す真の成果を出している企業と、表面的なブームにとどまる企業を分ける「見極めの年」になると予測した。 「AIバブルが崩壊するかどうかよりも、実際の成果を出しているか、効果的かつ効率的に活用されているかが問われるべきだ」と語り、AIの未来は「勝者1人、敗者全員」ではなく、多様な成功の形が存在すると指摘。 カッツェンバーグ氏は1994年までウォルト・ディズニー・スタジオの会長を務め、『シュリク』『マダガスカル』『クンフー・パンダ』など数々のヒット作品を生み出した。2016年に退任後、2017年に元DropboxのCFO、スージェイ・ジャスワと共にVC企業WndrCoを設立。同社はCursor、Harvey、Figmaなど、AI分野の注目企業に投資している。 WndrCoの一般パートナー、チェンリ・ワン氏は、同社がAI時代のスタートアップを評価する基準について語った。彼は「ジェフのキャリアを含め、私たちは常に『人』の可能性に注目してきた。人間の創造性とインスピレーションが、技術と融合することで真の価値が生まれる」と述べ、人材評価において「ベンチマーク」を重視しない姿勢を明確にした。 「標準化テストが子どもたちの創造力を奪ってきたように、AIの初期ベンチマークも同様のリスクがある」と指摘。実際、AIセキュリティ企業ZeroPathの共同創業者兼CEOであるディーン・ヴァレンタイン氏は、2024年6月以降のモデル進化について「ほとんどが表面的な装飾に過ぎない」と批判。自身のチームが評価したモデル群の多くは、内部ベンチマークやバグ発見能力に顕著な改善を示さなかったと明かした。 また、欧州委員会の共同研究センターが2024年2月に発表した論文「AIベンチマークは信頼できるか?」では、現行の評価手法が「社会的影響を無視して、単に性能の最適化を重視する」点に問題があると指摘。 カッツェンバーグ氏らの見解は、AIの評価と投資の在り方を、技術的進歩の表面だけでなく、人間の知性と社会的価値の融合に置くべきだという、本質的な問いを投げかけている。
