ニューラルコンセプト、ゴールドマンサックス・アロケーションズ主導で1億ドル調達へAIネイティブ工学の拡大へ
スイス・ローザンヌ—Neural Conceptは、ゴールドマン・サックスが主導するシリーズCラウンドで1億ドル(約150億円)の資金調達を実施したと発表した。この資金調達は、人工知能(AI)を活用した次世代の設計最適化技術の開発とグローバル展開を加速するための重要な一歩となる。Neural Conceptは、AIと数値シミュレーションを融合した「AI駆動型設計」ソリューションを提供するスイスのスタートアップで、特に航空宇宙、自動車、エネルギー分野での応用に注力している。 この資金調達の背景には、産業界が持つ設計プロセスのデジタル化と効率化への強いニーズがある。従来の設計では、複雑な物理シミュレーション(例:CFD、FEM)に膨大な計算時間とコストがかかることが課題だった。Neural Conceptの技術は、AIモデルが物理法則を学習し、従来数日かかるシミュレーションを数秒で予測する「迅速な設計探索」を可能にする。これにより、開発サイクルの短縮と、性能・コストの最適化が実現される。 資金調達の主な関係者は、ゴールドマン・サックスがリードインベスターとして参加し、既存の投資家であるSociété Générale Private Banking、Heraeus、およびその他のベンチャーキャピタルが続行出資した。この資金は、AIモデルの精度向上、クラウドインフラの強化、欧米・アジア市場への展開に充てられる予定だ。特に、自動車メーカーと航空機開発企業との戦略的提携を加速させることが狙いの一つである。 この資金調達は、Neural Conceptにとって転機となる出来事である。2022年にシリーズBで2000万ドルを調達した後、技術の実用化と市場拡大を進めてきたが、今回の1億ドル調達は、AIと工学の融合が産業界に与える影響を示す象徴的な出来事ともいえる。特に、AIが「設計の創造性」を補完する役割を果たすようになり、人間の設計者とAIの協働が新たな設計の常識へと進化している。 専門家からは、「Neural Conceptのアプローチは、産業用AIの実用化のカギを握っている」との評価が相次いでいる。スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の機械工学教授は、「AIが物理法則を学ぶことで、シミュレーションの精度とスピードが飛躍的に向上し、開発コストの削減に貢献する」と指摘。また、業界では、この技術がサステナブルな製品開発(例:低燃費エンジン、軽量構造)の実現に不可欠なツールになると予測されている。 Neural Conceptは、2016年にEPFLの研究チームから発展した企業で、AIと科学計算の融合をテーマにした研究を長年推進してきた。同社の技術は、既に複数の世界トップクラスの自動車メーカーと共同開発プロジェクトで実証済みであり、今後は半導体や医療機器分野への展開も視野に入れている。 この1億ドルの調達は、AIが産業設計の根幹を支える基盤技術へと進化している証左であり、今後、グローバルな技術競争の新たな局面を切り開く可能性を秘めている。
