OpenAI、人型ロボット開発を加速 データ収集に注力する裏側
OpenAIが再びロボット工学分野に本格的に進出している。同社は昨年、サム・アルトマンCEOが「人型ロボットの時代はまだ来ていないが、近い将来訪れる」と述べたのを背景に、静かに人型ロボット開発ラボを拡大。サンフランシスコの本社ビル内に設置されたこのラボは、2025年2月に設立されて以来、人員が4倍以上に増加し、現在約100人のデータ収集担当者が働いている。主な業務は、ドイツのロボットメーカー・フランカが開発した金属製のアーム型ロボット(Franka)を、3Dプリンターで作られたコントローラー「GELLO」を使って遠隔操作し、トースターにパンを入れたり、洗濯物を畳んだりといった家事動作を学ばせること。 当初は「ラバーダックをカップに入れる」など単純なタスクからスタートし、段階的に複雑な動作へと移行。収集されたデータは、AIがロボットの動きを学習するための基盤となる。このアプローチは、TeslaやFigureが採用するモーションキャプチャスーツやVRヘッドセットを用いたフルサイズ人型ロボットの操作とは異なり、コストが低く、スケーラブルなデータ収集が可能。この方式は2023年にカリフォルニア大学バークレー校が発表した研究と類似しており、その研究者1人が2024年8月にOpenAIに参加している。 同社は2020年に人型ロボットプロジェクトを終了していたが、現在は「AIモデルの進化」を基盤に、家電やクラウドデータセンター向けのコンシューマーデバイス開発も視野に入れている。2025年12月にはカリフォルニア州リッチモンドに第二のラボを開設する計画も明らかにされた。しかし、現在のロボットは「iRobot風」の外観を持つものの、実際の動作はほとんど見られない状態で、研究は主にアーム型ロボットのデータ収集に集中している。 専門家は、この段階が「非常に初期」であり、データ収集量の増加がロボットの自律性向上に結びつくかどうかは未確定だと指摘。OpenAIはデータ収集の効率を高めるため、作業者に「良好なデータ時間数」を評価基準としている。同社の戦略は、AIの「ChatGPT的爆発的進化」をロボット分野でも実現しようとする試みの一環と見られ、技術的課題は多いが、低コストで大規模なデータを収集できる点が大きな強みとされる。
