AIが欠陥構造を予測し、光学材料の逆設計を高速化
韓国忠南大学のナ・ジュンヒ教授らの研究チームが、AIを活用した新しい材料設計手法を開発し、物質中の欠陥構造を高速に予測する画期的なモデルを構築した。この深層学習モデルは、従来数時間かかる数値シミュレーションを数ミリ秒で実行し、先進的な光学材料の逆設計を可能にした。研究成果は学術誌『Small』に掲載された。 研究の焦点は、対称性の破れによって生じる「位相欠陥」である。ナチュラルな秩序を持つ系が変化する際に発生するこれらの欠陥は、宇宙の大規模構造から液晶材料まで広範に存在し、秩序の形成メカニズムを解明する鍵となる。特に、分子の回転は自由だが、全体として整列しているネマチック液晶は、欠陥の形成・移動・再構成を観察する理想的なモデル系として用いられている。 研究チームは、3D U-Netと呼ばれる畳み込みニューラルネットワークを採用。この構造は、分子の整列状態と局所的な欠陥構造を同時に捉える能力を持つ。境界条件(例えば、容器の縁の分子配向)を入力すると、モデルはその条件下での最終的な平衡状態、すなわち分子の配向場と欠陥の位置・形状を即座に予測する。 モデルは、従来のシミュレーションで生成された大量のデータで学習。訓練後は、未経験の複雑な配置に対しても高い精度で応答し、シミュレーションや実験結果と一致することが確認された。特に、欠陥同士が合体したり分裂したりする高次位相欠陥の動的挙動も正しく再現した。 この高速な予測能力により、研究者は広範な設計空間を迅速に探索可能となり、特定の欠陥構造を持つ材料を意図的に設計する「逆設計」が現実のものとなった。ナ教授は「AI駆動の材料設計により、ホログラフィックディスプレイやVR/AR、環境に応じて変化するスマートウインドウといった次世代光学デバイスの開発が飛躍的に加速する」と述べている。 この成果は、AIが物性科学の設計プロセスを根本から変革する可能性を示すものであり、スマート材料の実用化に向けた重要な一歩とされている。
