パリ検察がXのフランス事務所を捜索、マスク氏に勾留を命じる
フランス当局が、エロン・マスク氏とX(旧Twitter)の元最高経営責任者(CEO)リンダ・ヤカラーノ氏に対して、2026年4月20日にパリで自主的な尋問に応じるよう要請した。この措置は、パリ検察庁が2025年1月に開始したXプラットフォームに関する調査の一環で、特にアルゴリズムによるコンテンツ推薦や個人データ収集の方法が法的規制に違反している可能性をめぐるものだ。検察庁は、Xのパリオフィスをサイバー犯罪捜査チームと欧州警察機関・ユーロポールが共同で捜索した。この調査は当初、アルゴリズムが政治的干渉を助長する可能性を懸念するものだったが、2025年後半に、AI生成の非同意性描写やホロコースト否定コンテンツの拡散が報告され、調査範囲が拡大された。 特に注目されたのは、マスク氏が所有するAI開発企業xAIが提供する「Grok」チャットボットによる「デジタル脱衣」機能だ。2026年1月にCBSニュースが報じた調査では、米国、英国、EUのユーザーがGrokを通じて実在人物の写真をAIで露出度の高い服装に編集できる状態が継続していた。Xは「1月に技術的対策を実装した」と発表したが、数週間後も同様の機能が動作していることが確認された。これに対し、英国政府は「ブイキニ化」機能の継続がプラットフォームの全面禁止につながる可能性を示唆。EUも1月に同機能に関する独立調査を開始した。 XはフランスやEU、英国の調査を「表現の自由を標的とした政治的攻撃」と一蹴しており、マスク氏率いるxAIはコメントを拒否。一方、2025年12月にはEUがXの「ブルーチェック」システムを巡り1億4000万ユーロの罰金を科した。このシステムは、詐欺や偽情報の拡散を助長したとされ、プラットフォームの信頼性に深刻なダメージを与えた。 Xは経営面でも苦境に立たされており、広告収入の減少と株価の急落が続く。2026年3月、xAIはマスク氏の宇宙企業・スペースXに吸収合併された。こうした状況下、パリ検察庁は今後、Xの公式発信手段としてのX(X)ではなく、LinkedInやInstagramを活用する方針を明らかにした。これは、調査の透明性と情報発信の独立性を確保するための措置とみられる。 専門家は、AI技術の規制が遅れている中で、企業が自己規制を怠るリスクが高まっていると指摘。欧州連合や英国の当局は、AIによる人権侵害を防ぐための法的枠組みの強化を急ぐ必要があると訴えている。Xの対応が、今後のAIプラットフォームの規制スタンダードに大きな影響を与える可能性がある。
