AIが構造を守りながら3Dプリント可能な個別化アイテムを生成——CSAILが新システム「MechStyle」を開発
マサチューセッツ工科大学(MIT)のCSAIL研究チームが、生成AIを活用して日常的に使える3Dプリント品を個人化できる新技術「MechStyle」を開発した。このシステムは、ユーザーが「サボテンのような壁掛けフック」などとテキストで指示すると、AIがその形状を生成しつつ、構造的強度をシミュレーションで保証する。従来の3Dスタイル化は、幾何学的変更によって構造が壊れやすく、約26%のモデルしか実用可能ではなかったが、MechStyleは有限要素解析(FEA)と動的スケジューリングを組み合わせ、構造的耐性を100%まで高めることが可能になった。 研究チームは、30種類のモデル(レンガ、石、サボテンなど)を対象にテストし、弱体化が予測される部位をリアルタイムで特定し、AIの生成プロセスを調整することで、強度を維持できる方法を確立した。システムには「フリースタイルモード」と「MechStyleモード」の2種類があり、前者は素早くデザインのアイデアを可視化し、後者は構造的影響を精密に評価する。これにより、ユーザーは自由にデザインを試作しつつ、実用性を確認できる。 対象は、魚の鱗を模したメガネ、岩肌のピルボックス、赤いマグマを模したランプシェードなど、多様な生活用品から、指の固定具や食器のグリップなど、介助用具まで広がる。今後は、ユーザーが3Dモデルの存在しない「新しい形状」をAIに生成させる機能も開発予定。これにより、専門知識のないユーザーでも、独自の製品を創出可能になる。 研究の主著者であるFaruqi氏は、「AIで作るものは、実際に使えて、壊れないものでなければならない」と強調。Google ResearchのManhardt氏も、「3Dスタイル化は2Dと比べて難易度が高く、構造を損なうリスクがある。MechStyleはその課題をシミュレーションで解決し、創造性と実用性の両立を可能にした」と評価している。 本研究はMIT-Googleの研究支援を受けており、ACMの「計算製造シンポジウム2023」で発表された。今後、DIY、小売、アシストテクノロジー分野での応用が期待されている。
