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AIが220万種の新素材を予測したが、実用性は?―実験家たちが警鐘

人工知能(AI)が数百万もの新素材の候補を生成する動きが、材料科学の分野で注目されている。グーグルのDeepMindは約2年前、AIを用いて220万種の結晶性物質を発見したと発表し、AIによる材料開発の新たな時代の到来を示唆した。この中には、グラフェンに似た層状化合物や、リチウムイオン電池の改良に役立つ可能性のある導電体も含まれていた。しかし、その後、多くの研究者から批判が相次いだ。カリフォルニア大学サンタバーバラ校の物質科学者アントニーチィーティム氏らは、AIが提案した化合物の多くが、極めて希少な放射性元素を含むなど、現実的でないものだと指摘。彼は「新しい化合物を発見するのと、実用的な材料を発見するのはまったく異なる」と強調した。 同様に、メタが開発したAIによる二酸化炭素捕集材料候補も、スイス連邦工科大学のベルン・スミット氏らから「現実には機能しない」との批判を受けた。AIの結果に過剰な期待が寄せられ、現実の制約を見落としているとの指摘だ。 こうした問題を受けて、研究者たちはAIの限界を再評価している。AIが学習したデータの多くは、密度汎関数理論(DFT)に基づく計算結果であり、これは極低温下での完全な秩序構造を仮定している。しかし実際の結晶は無秩序な状態をとることが多く、AIが提案する「秩序ある構造」は、実際には既に知られている無秩序な形で存在していることが判明した。バイロイト大学のヨハネス・マグラフ氏らの研究では、DeepMindが提案した約38万件の安定構造のうち、80~84%が実際には無秩序である可能性が高いと示された。 さらに、AIによる実験支援システム「A-Lab」も議論の的となった。ロボットがAIが提示した合成ルールに従って物質を生成したが、一部の物質は既に知られていたものであり、新たな発見とは言えないとの批判が相次いだ。一方、A-Labの共同研究者であるゲランド・セダー氏は、生成物の正確な同定が行われたと反論している。 こうした議論から、AIは材料開発の強力な「目安」にはなるが、実用化には実験化学者との連携と、AIの限界を理解した謙虚な姿勢が不可欠であるという結論に至っている。AIは「夢」を描くが、現実の材料は、人間の知恵と実験によって形になる。

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