VisaがAI成熟度で首位、決済業界のAI競争が本格化
国際的な決済業界におけるAI活用の水準を評価した新たな指標が発表され、Visaがトップに立ち、MastercardとPayPalが続く順位を記録した。Evident社が金融分野のAI動向を調査する中で、12の主要決済企業を対象に「AI成熟度インデックス」を構築。Visaは技術力、人材、イノベーション、透明性の4つの観点で総合的に評価され、首位に輝いた。MastercardとPayPalが2、3位を占め、新興のフィンテック企業であるStripeとBlockもそれぞれ5、6位と、急速なAI進化を示している。 このインデックスは、各社のAI活用状況を分析したもので、過去2年間で12社が合計約100のAI活用事例を実施。特にVisaとMastercardは、半数以上の活用事例を担っており、特に不正検出やサイバーセキュリティ分野で先進的な技術を展開している。Visaは過去10年間でAI・データ分野に35億ドル以上を投資し、2,500人以上の技術者を抱え、300以上のAIモデルを本番運用している。同社の2025年年次報告書では、「AIへの継続的投資がなければ、技術的進化に遅れをとる」と明言している。 一方で、業界全体に共通する課題がある。すべての企業がAI投資の成果(ROI)を公表していない。これに対し、Evidentが追跡する50行の銀行のうち10行はすでにROIを公表している。Evidentの共同CEOであるAnnabel Ayles氏は、「AI投資の成果を示さないことは、市場の信頼を損なうリスクがある」と指摘。今後、AIの価値を明確に示す企業が「透明性の先駆者」として評価される可能性がある。 人材面でも、決済業界はAI分野で突出。12社の合計33万5000人超の従業員のうち、平均6.5%がAI関連業務に従事しており、金融業界全体で最も高いAI人材密度を記録。PayPalはAI人材の18%を占め、4,000人以上を擁する。StripeやBlockも、従業員の10%以上がAI関連に従事している。 今後の競争の鍵は、AIの「防御的活用」から「戦略的優位」への転換。PayPalやMastercardはAIエージェントの開発を公表しており、Visaも「エージェント型コマース」の可能性を示唆。AIの透明性と実績の可視化が、次の先制優位のカギとなる。
