元マイクロソフト最高戦略官が提唱するAI時代の新教育カリキュラム
元マイクロソフト最高研究戦略責任者でAI専門家であるクレイグ・マンディ氏は、教育現場に新たなカリキュラムの導入が急務だと訴えている。マンディ氏は、親たちが「AIの進化が進む中、子どもに何を学ばせるべきか」と問う姿勢に、根本的な誤りがあると指摘。単に「どの職業に就けるか」を問うのではなく、教育自体のあり方を変えるべきだと強調した。 マンディ氏は、AIとロボットが労働のあり方を過去の技術革新以上に変えると予測。長年にわたり「人間の価値は仕事に結びついてきた」という歴史的文脈を踏まえ、AIが身体的・知的労働の多くを自動化することで、働きがいと人間の価値の定義が再考される必要があると述べた。2015年の著書『ジェネシス』でも、AIが人間の自己認識に与える影響を考察しており、その中で「人間は自分自身をどう評価するかを再考する時代に入った」と述べている。 現在の教育制度は、STEM(科学技術工学数学)と人文系の二極化が深刻で、技術力と論理的思考の両立が不足していると指摘。彼が理想とするのは、「テクノロジーを学ぶ人文教育」——つまり、技術と人間性を融合した新しいカリキュラムだ。学びの場は、今ある教室型の標準化されたモデルから脱却し、AIを活用した個別化された学びへと進化すべきだと主張。 マンディ氏は、AIが「誰にでも使える多才な教師」を実現可能にし、学習者は自分の興味やペースに応じて、対話的に学べる環境が可能になると説明。たとえば、カーンアカデミーが導入したAIチューター「カーンミゴ」は、単なる答えの提示ではなく、質問を深めるように導く「Socraticな学び」を可能にしている。これは、汎用的なチャットインターフェースとは本質的に異なる。 しかし、教育機関はこの変化に遅れをとっている。初期段階ではAIツールの使用禁止が相次いだが、今やその姿勢も変化しつつある。マンディ氏は、「既存のシステムは自らを守ろうとする傾向があるが、AIほどの力を持つ技術が登場すれば、既存の枠組みは維持されにくい」と断言。最終的には、子どもたちが自然に適応する一方で、教育機関が変化を拒むかどうかが鍵となると結論づけた。
