HyperAIHyperAI

Command Palette

Search for a command to run...

IBM、自社AIアクセラレータ「Spyre」を本格提供へ Anthropicモデルと連携しエンドツーエンドAI基盤を強化

IBMが自社開発のAIアクセラレータ「Spyre」を本格的に提供開始し、AI戦略を強化した。同社は大規模モデルの開発ではOpenAIやAnthropicに遅れを取っているが、エンタープライズ向けのAI実装には強みを持つ。特に、10万を超える企業顧客が既存のITインフラを維持しながらAIを段階的に導入したいというニーズに応える立場に立っている。この背景から、IBMはAIモデルの提供だけでなく、ハードウェアとソフトウェアの統合プラットフォームを提供する戦略を採っている。 2025年の技術カンファレンス「techExchange2025」で発表された主な成果の一つが、AIモデルベンダーのAnthropicとの提携。IBMは同社の「Claude」モデルを自社のAIプラットフォーム「Watsonx」に統合し、エンタープライズ向けに提供する。この提携には明確な株式出資は含まれていないが、IBMがAnthropicモデルを白ラベル化して自社ブランドで販売する形で、主にPower SystemsやSystem zメインフレームに搭載する戦略が見込まれる。特に、IBMが開発したCOBOLやRPGアプリケーションのAI現代化ツール「Project Bob」は、Claude Sonnet 4.5や自社モデル「Granite」を活用しており、内部開発者による実証実験で平均45%の生産性向上が確認されている。 もう一つの注目は、IBM Researchが開発したAIアクセラレータ「Spyre」の出荷開始。10月28日からSystem zメインフレーム向け、12月12日からPower Systems向けに8枚セットのPCIeカードとして販売。1TBの共有メモリと1.6TB/secの帯域、FP16での2.4ペタオプス以上の性能を実現。特筆すべきは、SpyreがPower Systems上でCPUと並行してインファレンスワークロードをライブマイグレーション可能である点で、NvidiaやAMDのGPUでは実現できない。これにより、AIワークロードの可用性と運用の柔軟性が向上する。 Spyre搭載バンドルには、Red Hat Enterprise Linux、RHEL.AIインファレンスサーバー、今後2026年Q1に追加予定のOpenShift.AIとWatsonxデータガバナンスツールが含まれる。また、IT管理、コード生成、セキュリティ診断、金融・医療分野向けのAIエージェントなど、業界特化型のデジタルアシスタントも提供される。 IBMは、AIの「利用可能性」を重視し、単なるAPI利用ではなく、既存システムと統合可能な実用的なプラットフォームを提供することで、企業のAI導入の障壁を低減する狙いだ。技術力とインフラの強みを活かし、AI時代の「インフラ提供者」としての地位を再確立しようとしている。

関連リンク