Amazon、192コア3nm Graviton5を発表 180MB L3キャッシュでAMD・Intelを凌駕するクラウドCPUへ
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、自社開発の第5世代サーバーCPU「Graviton5」を発表した。このプロセッサは、最大192コア、3nmクラスの製造プロセスを採用し、180MBのL3キャッシュを搭載。AMD EPYCやIntel XeonといったハイエンドCPUと直接競合する性能を備え、AWSのデータセンターにおけるインフラ基盤の再構築を目指している。現在、EC2 M9gインスタンスとしてプレビュー提供中で、データベースやウェブアプリ、機械学習ワークロードで前世代M8g比で最大35%の性能向上が実現している。C9g(計算最適化)とR9g(メモリ最適化)のバージョンは2026年にリリース予定。 Graviton5は、ArmのNeoverse V3コアを192個搭載。コア密度と性能面でArmアーキテクチャの最前線に位置づけられている。特に注目すべきは、従来のGraviton4に搭載されていたシステムレベルキャッシュ(SLC)から、各コアクラスタに分散された大容量L3キャッシュへの移行だ。この変更により、コア数が倍増しても、最大33%の相互通信遅延低減が可能となり、高スケーラビリティと低レイテンシを両立。180MBのキャッシュ容量は、SLCの5倍に相当し、データの局所性を高め、コア間の整合性管理を効率化する設計になっている。 メモリとI/O面でも進化が見られる。12チャンネルのDDR5メモリを採用し、速度はDDR5-5600を超える可能性がある。ネットワーク帯域は平均15%、最大で2倍向上。ストレージ帯域(Amazon EBS)も平均20%増加。これらの改善は、分散システムや高負荷ワークロードに適している。 セキュリティ面では、AWS Nitroシステムの第6世代カードに加え、「Nitro Isolation Engine」という形式的検証(形式証明)を用いた隔離層を導入。運用者へのアクセスをゼロにし、顧客が実装と証明を確認できる仕組みを提供。オンプレミス利用を想定する企業からの信頼獲得にも寄与する。 Graviton5は、AWSが自社設計で独自のアーキテクチャを構築する意欲を示す象徴的な製品。AMDやIntelのCPUに挑戦するだけでなく、クラウドにおけるパフォーマンス・コスト比とセキュリティの新基準を提示している。
