AIが医療から金融まで変革する、3つの鍵となる可能性
グーグルの最高財務責任者(CFO)であるルース・ポラット氏は、ジャクソン・ホール経済政策シンポジウムで、AIの革新が医療から金融まで幅広い分野を変革していると強調した。彼女は、Googleの検索データから明らかになる「AI」への関心の高まりが、2年前の「AIが人間を置き換えるか」という懸念から、「どうすればAIを活用できるか」という前向きな問いにシフトしていると指摘。特に「AIががんを治せるか」という検索が急増している点から、社会全体がAIの可能性に期待していることを示した。 ポラット氏は、AIの活用を「健康」をテーマにした三つの視点から説明した。第一は「科学の進展」。グーグルのAlphaFoldは、2000万以上のタンパク質の3次元構造を数か月で解析し、がん治療の道を開いた。これは、従来では数万年かかっていた作業を、AIによって一気に実現した例である。第二は「早期発見」。AIは病理スライドに潜む微小ながん細胞を高精度で検出でき、医師の診断時間を半減させた。金融分野でも、AIは取引データから不正行為のパターンをリアルタイムで発見し、不正検出件数を3倍に、誤検出を60%削減、対応速度を50%向上させる効果をもたらした。また、サイバーセキュリティ分野では、Google DeepMindが開発したAIエージェント「Big Sleep」が、実際の攻撃に使われる前に未知の脆弱性を発見し、世界初のAIによるリアルタイム攻撃阻止に成功した。第三は「業務効率化」。AIは医師の事務負担を最大30%削減し、診断や患者対応に集中できる環境を整えた。金融業界では、AIカスタマーサポートが基本的な問い合わせを処理し、専門的な対応に専念できるようになり、従業員から「業務の質が上がった」との声も上がっている。また、NotebookLMやAIコーディング支援ツールも、情報分析や開発効率を飛躍的に高めている。 最後に、ポラット氏は「AIへの取り組みは経営トップの戦略的選択が必要」と強調。組織内での実験やプロンプトの工夫を促し、Googleが設立した「Google Labs」のような構造的環境がイノベーションを加速すると述べた。AIはまだ序盤だが、アメリカのイノベーションの象徴であり、今後数十年にわたり経済や社会をより良いものに変える可能性を秘めていると締めくくった。
