CMSがAI企業Humataと協力、臨床承認を高速化・公正化へ
米国メディケア・メディケイドサービス局(CMS)は、AIを活用した前払い承認(prior authorization)の効率化を目的とする「WISeRモデル」を2026年1月から6州(アリゾナ、オハイオ、オクラホマ、ニュージャージー、テキサス、ワシントン)で開始する。この取り組みに、AI駆動の前払い承認技術で知られる医師主導のスタートアップ・ヒュマタ・ヘルス(Humata Health)が主要技術パートナーとして選ばれた。特にオクラホマ州では、全医療機関からの申請を一括して処理する役割を担う。 WISeRモデルは、過去に不正・浪費・患者へのリスクが高いとされる17の医療サービスを対象としており、膝関節鏡手術や皮膚代替材の使用など、高コストかつ臨床的価値が低いとされる治療が含まれる。特に皮膚代替材の支出は2024年に100億ドルに達し、2年間で640%増加。一方、その臨床効果は限定的で、不正行為や患者被害の報告も相次いでいる。 ヒュマタ・ヘルスのAI技術は、医療記録とメディケアの保険適用基準を自動で照合し、適切なサービスについては数日以内に即時承認を可能にする。ただし、即時承認ができない複雑なケースは、人間の臨床医による審査に移行する。この仕組みにより、承認プロセスのスピードアップと透明性の向上を実現。既に導入している病院では、承認サイクルが50%以上短縮され、不必要な拒否が最大40%削減された。 同社の創設者兼CEOであるジェレミー・フリーズ医師は、「すべての患者が適切なケアを迅速に受けられるよう、技術と臨床の融合を実現したい」と強調。AIは「人間の判断を補完する」存在であり、医師と保険者をつなぐ新たな基準を築く機会だと語る。 2024年時点でメディケア受給者は6800万人。年間約2700万人が低価値医療を受けているとされ、その中には無駄な腰椎手術なども含まれる。WISeRモデルは、こうした問題をAIと臨床専門性で解決し、患者安全と医療費の効率化を両立する画期的な取り組みとして注目されている。
