AI分析で見直すマッキンゼーの採用観:「完璧な成績」より「回復力」重視へ
マッキンゼーのボブ・スターンフェルスCEOは、人工知能(AI)の導入によって同社の人材採用観が根本から変化していると語った。同社のパートナー採用は長年にわたり極めて厳しく、トップ大学出身者や業界のエキスパートを主なターゲットとしてきたが、AIの活用によってこの基準が見直されている。スターンフェルス氏は、ハーバード・ビジネス・レビューの「IdeaCast」で、過去20年の採用データをAIで分析した結果、挫折を経て回復した人物が将来のパートナーとして高い成功を収める傾向があることを発見したと明かした。 「我々は、完璧な成績を持つ人材に偏りすぎていた。しかし、困難から立ち直る力、すなわちレジリエンスこそが、長期的な成功の鍵だった」と同氏は語る。この知見を踏まえ、マッキンゼーは面接プロセスで「回復力」を重視するようになった。2023年12月に約200人をパートナーに昇格させたが、これは数年ぶりの最少クラス。2022年には約400人が昇格しており、採用の厳格化が進んでいる。 マッキンゼーは年間約100万件の履歴書を受け取り、2023年と同様に採用率は約1%を予定。同社は「キャリアの初期段階で独自性を持つ学生」や、テクノロジー、金融、法務など多様な分野の専門家を求める。特に、問題解決能力を評価するゲーム形式のテスト「Solve」を導入しており、事前に準備リソースを提供することで、コンサルティングクラブなどにアクセスのない背景の候補者も公平に能力を発揮できる環境を整えている。 AIの分析によって、採用プロセスに潜むバイアスが明らかになり、より多様で強靭な人材を発掘する仕組みが構築されている。マッキンゼーは、AIを「人材の可能性を再発見するツール」と位置づけ、未来のパートナー像を刷新している。
