AI投資の新星、ディーディ・ダスが注目集める
ベンチャーキャピタル界の新星、ディーディ・ダス氏が注目を集めている。メンロ・ベンチャーズに所属するダス氏は、わずか1年半の投資家としての経験ながら、人工知能(AI)やインフラ、エンタープライズソフトウェア分野でその実力を見せている。彼はフェイスブックやグーグルでのエンジニア経験を経て、企業検索ツール「グリーン」の初期メンバーとして、同社の事業を0から22億ドル(約3500億円)の評価額まで成長させた。2024年には評価額が72億ドルにまで上昇した。 メンロでは、アントロピックと共同で設立した1億ドル規模の「アントロジー・ファンド」を主導し、技術的深さのある審査(ディリジェンス)で評価されている。2024年、彼はパートナーに昇格し、次世代のVCリーダーの一人として注目されている。 ダス氏の強みは、技術者としての現場経験と、AIの進化を予見する鋭い洞察力にある。彼は、複数の大規模言語モデルにアクセスできるプラットフォーム「OpenRouter」の立ち上げ段階から関与。自身がグリーンで開発した類似技術の経験から、需要の大きさを即座に認識し、「これは必ず成功する」と断言。メンロは当初小規模出資からスタートし、その後4000万ドルのシリーズAを主導するなど、信頼を裏付ける投資を実行した。 彼の他にも、音声を自然な文章に変換する「Wispr Flow」や、AIモデルの行動原理を解明する研究機関「Goodfire」など、アントロジー・ファンドを通じて複数の注目スタートアップに投資。これらの選定は、単なる「流行」ではなく、技術的根拠に基づいた判断が反映されている。 また、ダス氏は自らもAIツールを活用し、仕事の効率化を図っている。AIでメール処理や会議参加者のリサーチ、LinkedInからの起業者発見までを自動化。彼は「VCは最先端技術を投資先に求めるが、自らはそれを使わないのが普通。これは奇妙だ」と笑いながら指摘する。 彼の背景と洞察力は、AI時代のベンチャーキャピタルに求められる「技術者型投資家」の理想像を体現している。現在、メンロをはじめとする多くのVCが、銀行出身の「数値屋」ではなく、実際の開発経験を持つ人材を重視する傾向にあり、ダス氏の登場はその流れを象徴している。
