OpenAIの調査から分かった、人々が実際にChatGPTを使う3つの実態
OpenAIが発表した最新の経済研究報告書(NBERワーキングペーパー34255)は、ChatGPTの実際の利用状況を初めて大規模かつ詳細に可視化した。2024年5月から2025年6月にかけての約110万件のチャットメッセージを分析し、7000万人以上の週間利用者を対象とした調査結果から、AIチャットボットの真の役割が「生産」ではなく「思考支援」にあることが明らかになった。 最も注目すべきは、ユーザーのメッセージの約49%が「尋ねる(Asking)」、40%が「行う(Doing)」、11%が「表現する(Expressing)」という三つの行動に分類されたことだ。特に「尋ねる」が「行う」を上回り、かつその割合は増加傾向にある。これは、ユーザーがChatGPTを単なる作業補助ツールではなく、意思決定のための対話パートナーとして活用していることを示している。実際、品質評価では「尋ねる」メッセージの方が「行う」メッセージよりも高い評価を受け、ユーザー満足度も高い。 利用目的のトップ3は「実用的アドバイス」(約30%)、「情報の収集」(約25%)、そして「文章作成」(約25%)で、これらが全体の約80%を占める。特に「文章作成」は仕事での利用で最も多く、全体の40%を占めるが、その多く(約2/3)はユーザーが事前に用意した文章の編集・要約・翻訳などであり、新規生成より「修正」が中心である。一方、プログラミングはわずか4.2%にとどまり、多くの人が想像する「コード生成の場」ではなかった。 利用者の構成も変化している。2025年6月時点で、ユーザーのうち52%が「女性らしき名前」を持つと判明。2022年には80%が男性名だったが、性別格差は急速に縮小。また、18〜25歳の若年層が全体の46%のメッセージを占め、26歳未満は全体の半数に達する。一方、仕事関連の利用は若年層ほど高くなく、18〜25歳のユーザーはメッセージの22.5%しか仕事に関係しない。反対に36〜45歳のユーザーで31.4%と最も高かった。非仕事利用は2024年6月の53%から2025年6月に73%まで上昇し、家庭生活、学習、個人プロジェクトなどが中心となっている。 研究はプライバシー保護に配慮しており、人間によるメッセージの閲覧は一切行われず、AIによる自動分類とデータクリーンルームを活用。ただし、分類自体もAIに依存しているため、一応の限界は存在する。 この研究は、ChatGPTの真の価値が「答えを出す」ことではなく、「より良い問いを立てる」ことにあり、思考プロセスの質を高めるツールであることを示している。企業や個人がAIを活用する際には、「Do this」ではなく「Help me decide」を意識した問いかけが効果的であり、編集モードを活用する、仮説を対立させさせる、実行計画に変換するといった戦略が推奨される。AIとの対話は、単なる効率化ではなく、深く考えるための新しい習慣としての可能性を秘めている。
