要約
関係性を持つWebテーブルは、多数の下流アプリケーションにおいて貴重なリソースを提供しており、特に列の注釈(列の意味的タイプおよび関係を特定するタスク)を含むテーブル理解は、データ管理分野における注目テーマとなっている。近年、大規模な事前学習言語モデルの力を活用してテーブル理解のさまざまなタスクを改善する試みがなされているが、既存の手法は依然として大規模かつ高品質なラベル付きデータに大きく依存しており、クラス間のデータ分布の不均衡により、データスパース性の問題に直面している。本論文では、大規模なラベルなしテーブルコーパスを活用して、最小限のオーバーヘッドでテーブルの堅牢な表現を学習するための対照学習技術を用いた「Watchog」フレームワークを提案する。本手法により、下流の列注釈タスクにおいて、従来の研究と比較してはるかに少ない追加ラベル付きインスタンスでファインチューニングを効果的に実施することが可能となる。さらに、半教師あり設定における最適化技術も提案している。代表的なベンチマークデータセットを用いた実験結果から、異なる設定下において2つの列注釈タスクにおいて、本研究で提案する手法の優位性が示された。特に、長尾型のラベル分布に起因するクラス不均衡問題を効果的に緩和することが可能である。半教師あり設定において、意味的タイプ検出タスクにおいて、Watchogは既存の最良手法と比較して、Micro F1スコアで最大26%、Macro F1スコアで最大41%の向上を達成した。