要約
オフライン変化点検出(Changepoint Detection: CPD)アルゴリズムは、信号の最適なセグメンテーションに用いられる。一般的に、これらのアルゴリズムは、信号の統計的性質の変化が事前に分かっているという仮定に基づき、適切なモデル(評価指標、コスト関数)を用いて変化点を検出する。しかし、そのような統計的性質が不明な場合、適切なモデル選択のプロセスは煩雑かつ時間のかかるものとなり、結果の不確実性も生じる。たとえアンサンブルアプローチが個々のアルゴリズムのロバスト性を高め、上記のような課題に対処する点で有効であることは広く知られているものの、異常値検出や分類問題に比べて、CPD問題におけるその形式化は不十分であり、注目度も低い。本論文では、非監督学習型のCPDアンサンブル(CPDE)手法を提案し、具体的なアンサンブルアルゴリズムの疑似コードおよびPython実装へのリンクを提供する。本手法の新規性は、オフライン解析中に変化点探索を実行する前に、複数のコスト関数を統合する点にある。数値実験の結果、提案するCPDEは非アンサンブル型CPD手法を上回る性能を示した。さらに、一般的なCPDアルゴリズム、スケーリング関数、集約関数の特性を分析し、数値実験を通じてそれらを比較検証した。得られた結果は、産業用故障および故障事例を含む2つの異常検出ベンチマーク、Tennessee Eastman Process(TEP)およびSkoltech Anomaly Benchmark(SKAB)を用いて得られた。本研究の応用可能性の一つとして、技術診断における故障同定・隔離問題における故障発生時刻の推定が挙げられる。