
要約
感情原因分析(Emotion Cause Analysis, ECA)は、感情を表す節(emotion clause)を抽出し、その感情の原因を特定することを目的としている。従来の手法は、特定のECAタスクに対してファインチューニング(fine-tuning)のアプローチを採用しているが、これらのタスク特化型手法には汎用性の欠如という課題がある。また、一つのタスクにおける複数の目的間の関係が明示的にモデル化されていない点も問題である。さらに、多くの既存手法で導入される相対的位置情報は、モデルにデータセットバイアスの影響を及ぼす可能性がある。本研究は、上記の第一および第二の課題に対処するため、統一的なフレームワーク内で異なるECAタスクを処理可能な汎用的プロンプトチューニング手法を提案する。第三の課題に対応するため、方向性制約モジュールと順次学習モジュールを設計し、バイアスの影響を軽減する。異なるタスク間の共通性に着目して、さらにモデルの能力を引き出すためにクロスタスク学習法も提案している。実験の結果、本手法はECAデータセット上で競争力ある性能を達成したことが示された。