要約
大腸癌は世界中で最も広範にわたり、致死率の高いがんの一つである。大腸内視鏡検査(コロノスコピー)は、大腸内のポリープを検出・診断するための主要な手技であるが、現在の診断精度には顕著な誤検出率が存在し、診断および治療に悪影響を及ぼしている。自動画像セグメンテーションアルゴリズムの導入により、医師が大腸内の病的ポリープの検出率を向上させられる可能性がある。さらに、大腸内視鏡画像における内視鏡器具のセグメンテーションは、ロボット支援手術の実現にも寄与する。本研究では、ポリープおよび内視鏡器具を含む2つの異なるデータセットを用いて、事前学習済みモデルと事前学習を行わないモデルの両方を訓練・検証した。その後、2つの独立したテストデータセットにモデルを適用した結果、最良のポリープセグメンテーションモデルはDiceスコア0.857を達成し、器具セグメンテーションモデルはDiceスコア0.948を記録した。また、モデルの事前学習がポリープおよび内視鏡器具のセグメンテーション性能の向上に寄与することが明らかになった。