
要約
自動的な物語理解は自然言語理解における基本的な課題であり、コンピュータが社会的規範や人間の行動、常識について学習する可能性をもたらす。本論文では、物語の理解を促進するためのモデルを提案する。このモデルは、(i) 物語に記述された出来事の順序、(ii) 感情の推移、(iii) プロットの整合性という、三つの異なる意味的側面に着目している。モデルが現実の物語をどれだけ正しく理解しているかを評価するため、人間と同様に、与えられた物語の次に何が起こるかについての期待を形成できるかどうかを検証している。具体的には、与えられた短編物語に対して、複数の候補の中から正しい結末を予測するタスクを用いている。モデルは、物語の文脈においてこれらの意味的側面の重みを調整するための隠れ変数を導入している。実験の結果、本手法がこれらの意味的側面を効果的に特徴づける可能性を示し、隠れ変数に基づくアプローチの有効性を裏付けた。本モデルは、最先端の手法を上回り、公開されたデータセットにおいて最良の性能を達成した。