
要約
動画データに含まれる豊富なラベルなし情報と、ラベル付けにかかる高コストという課題に鑑み、本研究では教師なしの動画ベース人間再識別(re-ID)手法の提案を目的とする。本手法は以下の2つの仮定に基づいている:1)異なる動画トラッケット(tracklet)は、撮影場所が異なりまたは撮影間隔が長い場合、通常は異なる人物を含む;2)各トラッケット内では、フレームの大部分が同一人物を対象としている。これらの仮定の下、本論文では、トラッケット間のクロスカメラ関連付けと特徴学習を繰り返すステップワイズなメトリック向上アプローチを提案する。具体的には、各トレーニングトラッケットをクエリとして用い、クロスカメラトレーニングデータセット内で検索を行う。本手法は相互近傍探索(reciprocal nearest neighbor search)に基づいて構築されており、初期ランクリストにおける誤ったマッチングのクロスカメラ近傍を効果的に排除する「ハードネガティブラベルマッチ」を解消できる。相互近傍検証を通過したトラッケットは、クエリと同一のIDを持つものとみなされる。PRID 2011、ILIDS-VID、MARSの3つのデータセットにおける実験結果から、本手法が教師あり手法と比較しても非常に競争力のある再識別精度を達成することが示された。