要約
本稿では、事前学習済みモデルを用いた音楽ソース分離用の新ツール「Spleeter」を紹介し、公開する。Spleeterは、使いやすさ、分離性能、処理速度の3点を重視して設計された。SpleeterはTensorFlow [1] を基盤としており、以下の機能を実現している:事前学習済みモデルを用いて、1つのコマンドライン操作で音声ファイルを2、4、または5つのソース(ステム)に分離可能。独立した音源データセットを用意すれば、TensorFlowを用いてソース分離モデルの学習や、事前学習済みモデルの微調整が可能。事前学習済みモデルの性能は、公開されている最先端技術と非常に近い水準にあり、著者らの知る限り、公開されているモデルの中で、一般的なMusDB18ベンチマーク [6] において4ステム分離性能が最も優れている。また、Spleeterは非常に高速であり、1つのグラフィックス処理ユニット(GPU)上で、事前学習済みの4ステムモデルを用いることで、ミックス音声ファイルを4ステムに分離する処理がリアルタイムの100倍以上高速に実行可能である。SpleeterはDockerパッケージとして提供されており、さまざまなプラットフォームでそのまま利用可能である。