要約
細粒度都市流動推定(Fine-grained Urban Flow Inference, FUFI)問題は、粗粒度の流れデータから細粒度の流れマップを推定することを目的としており、電力消費、保守・運用コストの削減を通じてスマートシティの多様な応用に貢献する。従来のモデルは画像の超解像技術を応用し、FUFIにおいて良好な性能を達成している。しかし、大規模な訓練データを必要とする教師あり学習に依存しており、一般化能力に欠けやすく、過学習の問題に直面することが多い。本研究では、細粒度都市流動推定のための新しいアプローチとして、空間時系列対比学習を活用するSTCF(Spatial-Temporal Contrastive Fine-grained Urban Flow Inference)を提案する。本手法は、(i) 流れマップ間の空間時系列的対比学習を実現する2つの事前学習ネットワーク、および (ii) 学習された特徴量を統合する結合型微調整ネットワークから構成される。STCFは、表現空間内において空間時系列的に類似した流れマップを引き寄せ、相違するものを遠ざけることで、推定の効率性と精度を向上させる。2つの大規模かつ実世界の都市流動データセットを用いた包括的な実験により、STCFが従来手法に比べて推定誤差を最大13.5%低減し、必要なデータ量およびモデルパラメータ数も大幅に削減できることを実証した。