
要約
Aspect-based sentiment analysis(ABSA)タスクは、文から感情タプルを抽出することを目的としている。近年、Seq2Seqモデルをはじめとする生成型手法が、出力を感情タプルの系列として定式化することで良好な性能を達成している。しかし、感情タプル間には自然な順序が存在せず、現在のタプルの生成は過去のタプルに条件づけられるべきではない。本論文では、感情タプルを木構造のパスとして生成する「Seq2Path」を提案する。木構造は「1対n」の関係(たとえば、ある特徴語が複数の意見語に対応する場合)を表現でき、木のパスは互いに独立しており順序を持たない。学習では、各パスを独立したターゲットとして扱い、通常のSeq2Seqモデルにおけるパスごとの損失の平均値を計算する。推論時には、制約付きデコードを用いたビームサーチを適用する。追加の判別トークンの導入とデータ拡張技術の適用により、有効なパスが自動的に選択可能となる。本研究では、AOPE、ASTE、TASD、UABSA、ACOSの5つのタスクにおいて実験を行い、Laptop14、Rest14、Rest15、Rest16の4つの代表的なベンチマークデータセット上で評価を行った。その結果、提案手法はほぼすべての設定で最先端の性能を達成した。